[P-SN-03-6] 脳性麻痺児の足圧中心動揺からみた立位姿勢の調整能力
キーワード:足圧中心動揺, 立位姿勢制御, 脳性麻痺児
【はじめに】
脳性麻痺児の障害には相違があり,個々の姿勢と運動の発達を示すと考えられる。特に神経系や筋の発達に伴う姿勢制御の変化を捉える必要がある。また身体変化の著しい時期での姿勢制御の変化を捉えることは,個々の変化を捉える上でも重要である。そこで今回,脳性麻痺児において立位姿勢制御における調整能力を検討した。
【対象と方法】
対象は脳性麻痺児5名。平均年齢は10.6±4.0歳。全員杖なしで独歩可能な痙直型両麻痺であった。コミュニケーションは良好であり,課題の理解が十分に可能なケースであった。計測方法は開眼および閉眼での自然立位(以下NS)および調整立位(以下RS)の4種類にて足圧中心動揺の計測を行った。NSは前方注視した立位とし,前を見て楽に立ってくださいと指示した。RSではできるだけ揺れないように立ってくださいと指示し,動揺を小さくすることとした。計測時間は30秒とし,サンプリング周波数は50Hzとした。計測パラメータはスタティック分析として総軌跡長,単位および単位面積軌跡長,矩形,外周および実効値面積,前後左右の方向中心変位,方向軌跡長および方向単位軌跡長,標準偏差面積を求めた。開眼および閉眼でのNSとRSでの比較検討を行った。
【結果】
開眼でのNSとRSでの有意差は認めなかった。閉眼では総軌跡長と単位軌跡長に有意な差が認められた(p<0.05)。またX方向軌跡長,X方向単位軌跡長に有意な差が認められた(p<0.01)。
【考察】
今回,脳性麻痺児の立位姿勢制御の調整能力をみるため,NSでの計測および課題として足圧中心動揺を小さくするRSを行った。結果として開眼ではNSおよびRSでの差は認めなかった。また閉眼では総軌跡長,単位軌跡長,X方向軌跡長,X方向単位軌跡長に差があり,動揺の増加が認められた。開眼での差が出なかったことは自己の動揺に対して視覚情報に依存するため動揺自体に対する反応が低く,NSとして変化がなかったと思われる。次に閉眼では総軌跡長,単位軌跡長差,X方向軌跡長,X方向単位軌跡長に差が認められた。閉眼でのNSとRSとの差は閉眼の状態で動揺を軽減することへの情報として固有系のフィードバックが必要になるが,固有系の機能低下およびフィードバックの利用がより困難になったためと考える。また動揺を軽減しようとするために意識的な反応が強くなり,さらにフィードバックの情報を低下させることや身体のスティフネスを増加させより動揺が大きくなったのではないかと考える。今回,脳性麻痺児にて立位姿勢制御の検討を行った。開眼による立位姿勢での動揺の軽減はなく,閉眼ではさらに動揺が増加することが認められた。
脳性麻痺児の障害には相違があり,個々の姿勢と運動の発達を示すと考えられる。特に神経系や筋の発達に伴う姿勢制御の変化を捉える必要がある。また身体変化の著しい時期での姿勢制御の変化を捉えることは,個々の変化を捉える上でも重要である。そこで今回,脳性麻痺児において立位姿勢制御における調整能力を検討した。
【対象と方法】
対象は脳性麻痺児5名。平均年齢は10.6±4.0歳。全員杖なしで独歩可能な痙直型両麻痺であった。コミュニケーションは良好であり,課題の理解が十分に可能なケースであった。計測方法は開眼および閉眼での自然立位(以下NS)および調整立位(以下RS)の4種類にて足圧中心動揺の計測を行った。NSは前方注視した立位とし,前を見て楽に立ってくださいと指示した。RSではできるだけ揺れないように立ってくださいと指示し,動揺を小さくすることとした。計測時間は30秒とし,サンプリング周波数は50Hzとした。計測パラメータはスタティック分析として総軌跡長,単位および単位面積軌跡長,矩形,外周および実効値面積,前後左右の方向中心変位,方向軌跡長および方向単位軌跡長,標準偏差面積を求めた。開眼および閉眼でのNSとRSでの比較検討を行った。
【結果】
開眼でのNSとRSでの有意差は認めなかった。閉眼では総軌跡長と単位軌跡長に有意な差が認められた(p<0.05)。またX方向軌跡長,X方向単位軌跡長に有意な差が認められた(p<0.01)。
【考察】
今回,脳性麻痺児の立位姿勢制御の調整能力をみるため,NSでの計測および課題として足圧中心動揺を小さくするRSを行った。結果として開眼ではNSおよびRSでの差は認めなかった。また閉眼では総軌跡長,単位軌跡長,X方向軌跡長,X方向単位軌跡長に差があり,動揺の増加が認められた。開眼での差が出なかったことは自己の動揺に対して視覚情報に依存するため動揺自体に対する反応が低く,NSとして変化がなかったと思われる。次に閉眼では総軌跡長,単位軌跡長差,X方向軌跡長,X方向単位軌跡長に差が認められた。閉眼でのNSとRSとの差は閉眼の状態で動揺を軽減することへの情報として固有系のフィードバックが必要になるが,固有系の機能低下およびフィードバックの利用がより困難になったためと考える。また動揺を軽減しようとするために意識的な反応が強くなり,さらにフィードバックの情報を低下させることや身体のスティフネスを増加させより動揺が大きくなったのではないかと考える。今回,脳性麻痺児にて立位姿勢制御の検討を行った。開眼による立位姿勢での動揺の軽減はなく,閉眼ではさらに動揺が増加することが認められた。