第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本小児理学療法学会 一般演題ポスター
小児P04

Sat. May 28, 2016 2:50 PM - 3:50 PM 第10会場 (産業振興センター 2階 セミナールームB)

[P-SN-04-4] 特別支援学校におけるスクールバス乗車判定への関わりについて

竹田智之1, 東城真由美2 (1.横浜市立若葉台特別支援学校, 2.横浜市特別支援教育総合センター)

Keywords:特別支援学校, スクールバス, コーディネート

【はじめに】特別支援学校での理学療法士(以下PT)は,学校で児童生徒が主体性をもった生活を送ることを目的に,校内外の様々な職種と連携を図りながら協働してその専門性を発揮することが期待されている。今回は校内でのスクールバス乗車に関する相談の中から,校内PTが専門職としての視点から乗車可否に関する意見やアプローチを求められたケースについて分析し,特別支援学校でPTに求められる専門性についての考察,報告することを目的とする。また,外部専門家や医療機関,学級担任との連携の重要性についても言及する。


【方法】横浜市立A特別支援学校において,2013年度から現在までの新就学,転入,及び在学生の新規乗車希望ケースの中から校内の乗車判定委員会(校内看護師を含む特別委員会)によって要判定と判断され,校内PTに相談があったケースについて,その内容と問題となった項目,及び介入と結果について分析をした。また,既に乗車可能と判断されスクールバスで登下校をしている児童生徒の中で,介入が必要となったケースについても,その内容の分析を行った。


【結果】乗車判定に関する相談は2年半で延べ6件であった。要判定となった理由は呼吸状態の不安,乗車耐久性の不安,乗車姿勢の安全性に対する不安が挙げられた。これらのケースに対し,学級担任,保護者と連携を図りながらスクールバス登下校便への同乗(以下チェック乗車)を重ね,乗車姿勢の修正や姿勢補助具の作成,及び活用へのアドバイスを中心に介入した。バイタルサイン等の評価を継続し,安定した乗車が一定期間継続できたところで乗車判定委員会に諮り,6件中5件については乗車可となった。残り1件については酸素療法(日中常時)のバス乗車時離脱が条件となっていたため,チェック乗車期間延長の判断となったが,慎重に評価を重ねた上で,後日乗車可判定となった。

バス乗車全体に関する相談は30件,内訳はカーシート関連10件,乗車耐久性評価4件,乗車姿勢関連11件,補助具関連5件であった。相談依頼は学級担任からが殆どであったが,保護者からの依頼や療育センターPTから依頼を受けたケースもあった。


【考察】特別支援学校では登校機会の確保と安全性の確保という両面から,スクールバス乗車判定について難しい判断を迫られるケースも少なくないのが現状である。この際,安全に乗れるための可能性を探る局面で,PTとしての専門性を期待されていることが明らかとなった。乗車姿勢の設定に関しては自宅では家族,学校では学級担任が主に実施するため,両者との連携,情報共有は欠かせない。同時に,カーシートや座位保持椅子の作成や調整においては療育センターや病院のPTとの連携,情報共有が必要となる。学校での児童生徒の活動,参加拡大のために,校内PTはその専門性を元にコーディネートする役割も求められることが示唆された。