[P-SP-01-4] カッティング動作における慢性足関節不安定症例の膝関節運動特性―Point Cluster法を用いて―
キーワード:足関節捻挫, 3次元動作解析, ポイントクラスター
【はじめに,目的】
慢性足関節不安定症(CAI)は足関節捻挫受傷後の後遺症であり,足関節構造及び機能の問題から反復性の足関節捻挫を引き起こす。CAIは動作時に足関節運動の変化をもたらすと報告されているが,近年は膝関節運動にも変化が生じ,特に膝関節矢状面上での角度変化が報告されている。一方,足関節捻挫が頻発するとされるカッティング動作において膝関節運動を3運動面から詳細に検討した研究はない。本研究ではカッティング動作課題にて,Point Cluster法を用いてCAIの膝関節運動を詳細に検討した。
【方法】
被験者は健常群8名(男性4名,女性4名)とCAI群8名(男性4名,女性4名)とした。両群において身体的特徴に差は認められなかった。動作解析には3次元動作解析システム(Motion Analysis社)を用い,赤外線カメラ(Motion Analysis社;サンプリング周波数250Hz)8台,床反力計(Kistler社;サンプリング周波数1000Hz)1枚を使用した。被験者にはボディスパッツを着用で,Andriacchiら(J Biomech Eng, 1998.)の方法に基づき,身体の各ランドマークに加えて検査脚大腿部に10個,下腿部に6個のクラスターマーカーを,そして全身に41個の反射マーカーを貼付した。動作課題は1歩のサイドステップからの180度方向の方向転換動作とした。データは床反力垂直成分が10Nを超えた時間を初期接地(IC)と定義して,IC前後100msを解析区間とし,Point Cluster法を用いて膝関節屈曲・外転・内旋角度を算出した。膝関節の運動は,立位からの変位で示した。統計解析にはSPSS ver.22(International Business Machines社)を用い,健常群とCAI群のIC前後100msにおける膝関節角度の差を対応の無いt検定(有意水準95%)を行った。なお,時間の影響を考慮するため3データポイント以上連続して有意差が認められた場合のみ有意差ありとした。
【結果】
IC前100ms~68ms及びIC後40ms~80msにおいて健常群よりもCAI群の屈曲角度が有意に小さかった(p<0.05)。また,IC前20ms~IC後36ms及びIC後52ms~76msにおいて健常群よりもCAI群の内旋角度が有意に小さかった(p<0.05)。外転角度は2群間で有意差が認められなかった(p>0.05)。
【結論】
本研究では新たな知見として,カッティング動作においてCAIはIC前後で膝関節内旋角度が小さくなる,つまり膝関節外旋傾向にあることが示された。接地時に足関節が固定された状態での膝関節外旋角度の増大は,足関節内旋ストレスを高めて足関節捻挫の受傷リスクを高める可能性がある。今後は足関節運動についても検討していく必要がある。また,膝関節のScrew home movementから,膝関節屈曲角度変化と膝関節内旋角度変化の関連性も考慮する必要がある。
慢性足関節不安定症(CAI)は足関節捻挫受傷後の後遺症であり,足関節構造及び機能の問題から反復性の足関節捻挫を引き起こす。CAIは動作時に足関節運動の変化をもたらすと報告されているが,近年は膝関節運動にも変化が生じ,特に膝関節矢状面上での角度変化が報告されている。一方,足関節捻挫が頻発するとされるカッティング動作において膝関節運動を3運動面から詳細に検討した研究はない。本研究ではカッティング動作課題にて,Point Cluster法を用いてCAIの膝関節運動を詳細に検討した。
【方法】
被験者は健常群8名(男性4名,女性4名)とCAI群8名(男性4名,女性4名)とした。両群において身体的特徴に差は認められなかった。動作解析には3次元動作解析システム(Motion Analysis社)を用い,赤外線カメラ(Motion Analysis社;サンプリング周波数250Hz)8台,床反力計(Kistler社;サンプリング周波数1000Hz)1枚を使用した。被験者にはボディスパッツを着用で,Andriacchiら(J Biomech Eng, 1998.)の方法に基づき,身体の各ランドマークに加えて検査脚大腿部に10個,下腿部に6個のクラスターマーカーを,そして全身に41個の反射マーカーを貼付した。動作課題は1歩のサイドステップからの180度方向の方向転換動作とした。データは床反力垂直成分が10Nを超えた時間を初期接地(IC)と定義して,IC前後100msを解析区間とし,Point Cluster法を用いて膝関節屈曲・外転・内旋角度を算出した。膝関節の運動は,立位からの変位で示した。統計解析にはSPSS ver.22(International Business Machines社)を用い,健常群とCAI群のIC前後100msにおける膝関節角度の差を対応の無いt検定(有意水準95%)を行った。なお,時間の影響を考慮するため3データポイント以上連続して有意差が認められた場合のみ有意差ありとした。
【結果】
IC前100ms~68ms及びIC後40ms~80msにおいて健常群よりもCAI群の屈曲角度が有意に小さかった(p<0.05)。また,IC前20ms~IC後36ms及びIC後52ms~76msにおいて健常群よりもCAI群の内旋角度が有意に小さかった(p<0.05)。外転角度は2群間で有意差が認められなかった(p>0.05)。
【結論】
本研究では新たな知見として,カッティング動作においてCAIはIC前後で膝関節内旋角度が小さくなる,つまり膝関節外旋傾向にあることが示された。接地時に足関節が固定された状態での膝関節外旋角度の増大は,足関節内旋ストレスを高めて足関節捻挫の受傷リスクを高める可能性がある。今後は足関節運動についても検討していく必要がある。また,膝関節のScrew home movementから,膝関節屈曲角度変化と膝関節内旋角度変化の関連性も考慮する必要がある。