第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本スポーツ理学療法学会 一般演題ポスター
スポーツP12

2016年5月29日(日) 11:10 〜 12:10 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-SP-12-1] active warm-upとpassive warm-upが足関節背屈可動域および底屈トルクの発揮に及ぼす影響

武内孝祐1,2, 中村雅俊3, 佃文子1, 北條達也3, 宮川俊平1, 竹村雅裕1 (1.びわこ成蹊スポーツ大学, 2.筑波大学スポーツ医学研究室, 3.同志社大学スポーツ健康科学部)

キーワード:warm-up, 有酸素運動, 温熱刺激

【はじめに,目的】

スポーツ現場では筋収縮を伴うactive warm-upと,筋収縮を伴わず外界からの物理刺激によるpassive warm-upが実施されている。それらのwarm-upの目的は柔軟性と筋力の向上であるが,その効果に関して一定の結果は得られていない。スポーツ現場で効果的にwarm-upプログラムを立案するためには,それぞれのwarm-upの効果を詳細に理解する必要がある。本研究の目的はactive warm-upとpassive warm-upが足関節背屈可動域と底屈トルクの発揮に及ぼす影響を詳細に比較検討することである。



【方法】

対象は運動習慣のない健常成人男性15名(年齢23.1±2.6歳,身長172.7±5.6cm,体重64.5±7.0kg)とした。全ての対象者に自転車エルゴメータを用いてactive warm-up(60W,120Bpm,10分間)を行うBike条件,40℃の温水を用いて下腿部全体に温熱刺激を加えることでpassive warm-up(10分間)を行うHot条件を課し,前後で柔軟性測定と筋力測定を実施した。各条件はランダムな順番で行い,1週間以上の間隔をあけて実施した。柔軟性測定は等速性筋力測定計を用いて行い,膝関節伸展位にて利き足の足関節を他動的に背屈した際の足関節背屈可動域,受動的トルク,スティフネスを測定・算出した。筋力測定は柔軟性測定の後に行い,等速性筋力測定計を用いて5秒間の最大等尺性収縮時の足関節底屈トルクを測定した。統計分析は時間と条件を要因とする二元配置分散分析を用いて行い,有意な交互作用が得られた場合はBonferroni法による多重比較検定を実施した。5%未満を有意水準とした。



【結果】

足関節背屈可動域(Bike;pre 30.0±5.9度,post 33.2±7.0度,Hot;pre 31.4±6.3度,post 33.9±6.3度),受動的トルク(Bike;pre 28.6±7.1Nm,post 33.7±8.0Nm,Hot;pre 29.7±6.7度,post 33.3±6.5Nm)に関して時間と条件の間に有意な交互作用は認められず,時間のみに有意な単純主効果が認められた(p<0.05)。スティフネスに関して有意な交互作用は認められず,有意な単純主効果も認められなかった(Bike;pre 0.56±0.33Nm/deg,post 0.48±0.11Nm/deg,Hot:pre 0.46±0.10Nm/deg,post 0.48±0.18Nm/deg)。底屈トルクに関して時間と条件の間に有意な交互作用があり(p<0.05),事後検定の結果Bike条件のみ有意に増加した(Bike;pre 106.4±36.6Nm,post 113.7±38.7Nm,Hot:pre 101.4±42.4Nm,post 105.9±38.3Nm)。



【結論】

active warm-upとpassive warm-upともにtoleranceが向上したことで足関節背屈可動域が増加した。active warm-upのみ足関節底屈トルク発揮が増加した。