第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P07

Sat. May 28, 2016 11:40 AM - 12:40 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-TK-07-5] 退院時における回復期病棟入院患者と家族の転倒恐怖感の傾向について

~本人と家族の項目に着目して~

清水恭兵1, 松田徹1, 原泰裕2, 原田鉄平3, 加藤研太郎4 (1.上尾中央総合病院, 2.津田沼中央総合病院, 3.三郷中央総合病院, 4.上尾中央医療専門学校)

Keywords:転倒恐怖感, 家族, 高齢者

【はじめに,目的】



近年,転倒予防に関する報告が多くされている。身体機能だけではなく,転倒と関連する心理的問題として高齢者の転倒に対する恐怖感が注目されている。(近藤2001)転倒後に自立歩行が可能であるにもかかわらず歩行障害を来す転倒後症候群の報告もされている。(Murphy1982)本人が感じる恐怖感と家族の恐怖感に相違があり,正しく能力を把握できていないため,閉じこもり症候群となるような場合が想定される。そこで,今回,様々な場面での本人の感じる恐怖感と,家族が感じる恐怖感の傾向を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施した。

【方法】



対象は平成27年8月から10月の間で津田沼総合病院回復期病棟に入院している患者の内,退院後に家族と同居して生活する予定の患者とその家族各6名とした。なお,65歳未満の者・改訂長谷川式簡易知能評価スケールが20点未満・うつ病の既往がある者・退院後に機能的自立度評価表(FIM)で移動項目5点以下の者は除外対象とした。

転倒恐怖感の測定にはHill(Hill 1996)らが開発したModified Falls Efficacy Scale(以下,MFES)を使用した。なおMFESは得点が高いほど転倒恐怖感が強くなるように改変して使用した。患者本人にはどの程度転倒せずに動作を行えると思うかと,家族には患者本人がどの程度転倒せずに動作を行えると思うかを退院が決定した後にアンケートを実施した。アンケートをFESの14項目ごとに患者本人・家族個別で集計し,ヒストグラムを作成した。両者の全体の合計を各項目の%で算出し検証した。

【結果】



屋外活動の中では本人と家族ともに共通してバスや電車の利用の項目で転倒恐怖感が最も髙い割合(本人16%,家族13%)となった。軽い買い物を行う項目は本人13%,家族10%,横断歩道を渡る項目は本人10%,家族11%となった。

屋内活動の項目の中で,家族は本人と比較し食事の準備や入浴に関しての項目で転倒恐怖感が髙い結果(食事は本人6%,家族9%,入浴は本人4%,家族9%)となった。

【結論】



各項目の内,患者・家族ともに軽い買い物を行う・バスや電車を利用する・横断歩道を渡るといった上記3項目において転倒恐怖感が強い傾向にある結果となった。共通点として,屋外活動が挙げられる。屋内での歩行練習と比較すると,屋外歩行練習に費やす時間は短い可能性がある。屋外歩行練習はある程度状態が安定している方に対して行い始めるため,開始時期が遅くなってしまう。まだ,家族の面会時にリハビリ見学をして頂ける機会は多くあるが,屋外歩行練習を一緒に同行して頂く機会は少ないことも影響しているのではないかと考える。

食事の準備や入浴の項目で本人に対し家族の転倒恐怖感が高い結果となった理由としては,屋内の中でも動作の難易度が影響していると考える。