第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P12

2016年5月29日(日) 10:00 〜 11:00 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-TK-12-3] 訪問リハビリテーション利用者の目標到達に及ぼす要因

阿部勉, 大沼剛 (リハビリ推進センター株式会社)

キーワード:訪問リハビリテーション, 目標到達, 継続要因

【はじめに,目的】

元々訪問リハビリテーション(訪問リハ)は,活動・参加を目的に行う自立支援サービスである。しかしながら,どのような対象者が順調に終了して他サービスに移行するのか,または,地域社会に参画していくのかは情報が乏しい。一方で,どのような対象者が継続を余儀なくされるのかも明らかとなっていない。人的にも経済的にも限り有る中で,必要な人に必要なサービスを効率よく提供するためには,その特性を明らかにする必要がある。本研究の目的は,訪問リハの目標到達に及ぼす要因を明らかにすることである。

【方法】

対象は,当ステーションの理学療法士または作業療法士の訪問リハビリテーション(訪問リハ)を新規に利用した在宅の要支援・要介護者320人の中で目標を到達して終了した目標到達群35人(11%:平均年齢768.17±11.88.4歳)と2年以上訪問を継続している継続群71人(22%:平均年齢77.4±10.5歳)とした。調査項目は,年齢,性別,疾患,開始時の歩行機能,基本的日常生活動作(Barthel index以下BI),認知機能,同居の有無とした。また,目標到達郡は,その後の転帰も調査した。目標到達の可否に関連する要因を明らかとするため,目標到達の有無を従属変数,年齢および性別を調整変数,その他の調査項目を独立変数としたロジスティック回帰分析を実施した。さらに,目標到達群の中で訪問期間が6ヶ月以内に終了した早期群とそれ以上の通常群の2群に分けて調査項目の違いを分析した。

【結果】

訪問リハの目標到達には,性別(オッズ比=0.20,95%信頼区間=0.05-0.85,p=0.03)とBI(オッズ比=1.04,95%信頼区間=1.00-1.07,p=0.03)が有意な関連要因として抽出された。目標到達群の終了理由は,通所サービスへの移行13人(37%),外出自立12人(34%),ADL向上4人(12%),その他(就労復帰,家族指導,装具調整など)6人(17%)だった。目標到達までの訪問期間は平均11.9±12.9ヶ月だった。終了時期に関しては,BIのみ早期郡で83.8±12.5点と通常群の68.3±14.0点に比べて有意に高かった。

【結論】

訪問リハ利用者の中で目標に到達して終了する場合は,通所サービスへの移行や外出自立など屋外への活動・参加の割合が大きかった。その為に目標到達に影響する要因は基本的日常生活活動であり,さらに,早期に到達する事にも影響していることが示唆された。一方,継続群には関節疾患及びパーキンソン病の罹患割合が高く,疾患の影響で止もえなく継続していることが伺えた。今後は,目標到達へ効率よく導く方法論の確率と継続者の特性をより明らかにすることが急務である。