第52回日本理学療法学術大会

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日本糖尿病理学療法学会企画 » シンポジウム

[DM-2] シンポジウム 糖尿病に対する理学療法の発展を目指して~臨床介入研究最前線~やればできる!! 糖尿病の理学療法介入研究

2017年5月13日(土) 15:30 〜 17:00 B2会場 (東京ベイ幕張ホール No. 3・4)

座長:横地 正裕(あさひ病院リハビリテーション科), 座長:大平 雅美(信州大学医学部保健学科理学療法学専攻)

日本糖尿病理学療法学会企画

[DM-2-4] 心臓血管外科術後患者の運動機能に糖尿病が与える影響およびその対策について

瀧野 皓哉 (岐阜ハートセンター心臓リハビリテーション室)

糖尿病は高血糖とインスリン抵抗性を背景に酸化ストレスや血管内皮細胞障害,炎症性サイトカインなど多くの動脈硬化促進因子を重積させることによって動脈硬化性疾患を発症させる。糖尿病患者の冠動脈は複雑な病変を呈することが多く,心血管疾患発症リスクが非罹患者と比べて2~3倍高いため,ガイドラインでは冠動脈多枝病変への治療に冠動脈インターベンションではなく冠動脈バイパス術を行うことが推奨されている。

心臓手術後は侵襲による炎症性の異化反応を惹起させ,筋タンパク崩壊による骨格筋量および筋力低下が生じると報告されている。手術後の骨格筋量および筋力低下は,術後疲労,ADL能力,健康関連QOL,さらには長期予後などにも影響を与えるため,術後早期からのリハビリテーション介入によって筋力低下を予防していくことが重要な課題である。

糖尿病は動脈硬化による冠動脈病変を発症させるだけでなく,心臓手術後の筋力低下についても影響を与えることが報告されている。高齢心臓血管外科術後患者を対象とした我々の報告においても,糖尿病罹患者は非罹患者以上に術後の筋力低下を示し,さらには術後の握力や等尺性膝伸展筋力が糖尿病罹患者で有意に低値であった。そのため,糖尿病の既往歴がある心臓血管外科術後患者に対しては非罹患者以上に積極的な介入が望まれる。

本シンポジウムでは,糖尿病罹患者に対しての新たな積極的介入方策を探るために,演者らが行っているアウトカムと介入する要因との関連研究を報告する。また糖尿病の既往歴がある心臓血管外科術後患者の外来リハビリテーション経過などを通して,新たな介入方策につながる可能性についても提示してゆきたい。本ジンポジウムを通して今後の糖尿病理学療法介入研究について皆様とともに検討できたら幸いでございます。