[ED-1-2] 篤志解剖全国連合会会長の立場から
コメディカル教育における「剖出を伴う人体解剖実習」は,従来,要望されていたが,全国的なうねりとならないまま現在に至っている。一方,平成24年,厚労省の指導下に,日本外科学会・日本解剖学会連名で「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」が作成され,「実践的な手術手技向上研修(サージカルトレーニング;ST)」として,外科的遺体使用に「お墨付き」が与えられた。
STのガイドライン作成の際,論点となったのは,死体解剖保存法(昭24)と医学及歯学の教育のための献体に関する法律(献体法;昭57)の解釈である。現在,大学で行われている人体解剖学実習(正常解剖)は死体解剖保存法に則って行われ,献体を用いる場合,献体法を遵守している。STを「法制化」との意見もあったが,結果的には現行法の範疇でのガイドラインとなった。
死体解剖保存法に則り「医学部・歯学部の実習室内で死体解剖有資格者または解剖学教授・准教授の手により(もしくはその指導の下に)行われる」限り,STも正常解剖とみなせる。但し,STの目的を「手術操作に習熟する」とするならば,献体法の「正常解剖=身体の正常な構造を明らかにするための解剖」という定義から外れる。
これらの法律は「理学療法士教育における剖出を伴う人体解剖学実習」にも同様に適用できる。すなわち死体解剖保存法に則り,本人・遺族の同意を得れば,コメディカル学生がメスを執って実習することはできる。現在,複数の医学部保健学科で解剖学実習を行っているが,違法性を問われることなく,献体者の多くは「医学への貢献」を理解している。
現行法の解釈にも課題はある。例えば「医学部保健学科での解剖実習は可能だが,保健学部では抵触する」点である。ただ,正常解剖の範疇で検討されたSTガイドラインが制定された今こそ,指導官庁の理解・協力の下,「剖出を伴う人体解剖学実習」のガイドライン制定を進める好機と捉えることができる。
STのガイドライン作成の際,論点となったのは,死体解剖保存法(昭24)と医学及歯学の教育のための献体に関する法律(献体法;昭57)の解釈である。現在,大学で行われている人体解剖学実習(正常解剖)は死体解剖保存法に則って行われ,献体を用いる場合,献体法を遵守している。STを「法制化」との意見もあったが,結果的には現行法の範疇でのガイドラインとなった。
死体解剖保存法に則り「医学部・歯学部の実習室内で死体解剖有資格者または解剖学教授・准教授の手により(もしくはその指導の下に)行われる」限り,STも正常解剖とみなせる。但し,STの目的を「手術操作に習熟する」とするならば,献体法の「正常解剖=身体の正常な構造を明らかにするための解剖」という定義から外れる。
これらの法律は「理学療法士教育における剖出を伴う人体解剖学実習」にも同様に適用できる。すなわち死体解剖保存法に則り,本人・遺族の同意を得れば,コメディカル学生がメスを執って実習することはできる。現在,複数の医学部保健学科で解剖学実習を行っているが,違法性を問われることなく,献体者の多くは「医学への貢献」を理解している。
現行法の解釈にも課題はある。例えば「医学部保健学科での解剖実習は可能だが,保健学部では抵触する」点である。ただ,正常解剖の範疇で検討されたSTガイドラインが制定された今こそ,指導官庁の理解・協力の下,「剖出を伴う人体解剖学実習」のガイドライン制定を進める好機と捉えることができる。