第52回日本理学療法学術大会

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[ED-3] 教育講演2 医療従事者に求められるコミュニケーションとは~現場でみえる現状と課題~

2017年5月14日(日) 09:20 〜 10:20 B2会場 (東京ベイ幕張ホール No. 3・4)

司会:三宅 わか子(星城大学リハビリテーション学院)

日本理学療法教育学会企画

[ED-3] 医療従事者に求められるコミュニケーションとは~現場でみえる現状と課題~

北村 美由起 ((株)新規開拓)

「何を提供するか」から,「どのように提供するか」を目指す

病院は健康な人が喜んでやってくる場所ではありません。
なんらかの理由で不安を抱えながらやってくる場所であり,できれば来たくはない場所です。
その好まれない場所で患者さんが期待していることは何でしょうか。
「よい医療を受けたい」と誰もが思います。「どんな医療を提供するか」は大事です。しかし,同時に「どのように提供したか」も求められます。
患者さんは「治療してもらっているのだから余計なことは言わない」
「愛想がなくても,態度が悪くても治療してもらっているのだから我慢しよう」
まだまだそう考える方が多いです。
プロとしてこう自問してください。
「私は医療従事者として,患者さんの不安や疑問を取り除くどれだけの努力をしているだろうか」
「私は自信をもって行っているアプローチがあるだろうか」
マスクで隠れたその顔は,患者さんにどんな顔に映っているか,話をするときには,目元は微笑んでいるだろうか,説明をする時の声は,丁寧さや優しさが感じられるだろうか。
私はキャンサーサバイバーです。自分が闘病生活で経験した,残念な思い,悔しい思い,我慢,辛抱,諦めは忘れることができません。
なぜそんな事が起こるのか,「現場のコミュニケーション不足」と,資格重視の「カースト制度」が原因です。
いつも不機嫌そうな医師,笑わない挨拶もしない師長,事務的な技師,忙しそうにする看護師,患者は現場のカースト制度を見抜きながら入院生活を送ります。
医療現場はもっと良質なコミュニケーションを身につけていかなければなりません。
これからの医療は「どんな医療を提供したのか」から「どのように提供したのか」が評価されていきます。
「医療技術」だけではなく,「どのように行ったのか」,かかわり方の質を上げることです。
医療従事者としての専門技術の向上と,コミュニケーション技術の向上,この両方の勉強が必要です。