第52回日本理学療法学術大会

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[JS-4] 教育セミナー1 成果を発信しよう―理学療法士の為の論文執筆のすすめ

2017年5月12日(金) 15:20 〜 16:20 A1会場 (幕張メッセ国際会議場 コンベンションホール)

司会:神先 秀人(山形県立保健医療大学保健医療学部理学療法学科)

大会企画

[JS-4] 成果を発信しよう―理学療法士の為の論文執筆のすすめ

市橋 則明 (京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻)

学会発表する以上は,できれば論文として公表できたらと思っている人も多いであろう。毎年理学療法の関連学会では2000演題以上が発表されているが,そのうち論文として発表されるものはどの程度の割合なのか? 48論文(投稿は140程度)が理学療法学に掲載されるということを考えると学会発表されたものの中から2.5%が論文となるにすぎない。学会発表ができるのに何故論文が書けないのか?私の研究室の2016年の論文数は18論文(英文16 impact factor 32)であり,この論文の著者の多くが初めて論文を書いた大学院生(修了生)である。私の研究室では何故論文を多く発表できるのか?英語論文を書くためにはどうしたらよいのか?

論文を書くためには必要条件と十分条件が重要である。必要条件としては,その研究内容に新規性があること,理学療法の発展に貢献できること,目的が明確で,その目的に合った方法になっていること等,研究テーマ,内容に関する条件である。これらは研究を始める前に十分吟味する必要がある。この必要条件は学会発表であっても重要であるが,理学療法学会においては,明確でない発表が多い。理学療法の分野は経験則だけで行われているものが多く,研究テーマの宝庫である。臨床での疑問はすべて研究論文になる可能性がある。ただしいくら必要条件を満たしていても掲載される論文にはならない。それは十分条件を満たしていないためである。十分条件とは,イントロで過去の論文の文献レビュが十分できていること,論理的に書いていること,飛躍した考察,結論になっていないこと等たくさんの論文を書く上での条件(作法)がある。この2つの条件がそろえば基本的には論文になるが,それ以外にも論文投稿場面や査読者とのやりとりの場面等ハードルは数多くある。

本講演では,私の経験から少しでも論文執筆の助けになるようなヒントを数多く示すことにしたい。