[O-SP-03-3] 回転盤上での下肢内旋運動における足関節内転運動と股関節内旋運動および足関節回外運動との関連
膝屈曲角度の違いによる影響
キーワード:足関節内反捻挫, 下肢内旋運動, 三次元動作解析
【はじめに,目的】
足関節内反捻挫は,方向転換動作やジャンプ着地動作などにおいて下肢の各関節の回旋運動を伴って発生することが多い。我々は,足関節内反捻挫の発生要因の一つとして股関節内旋可動域があることを報告した。また,下肢全体の回旋運動は,股関節・膝関節・足関節の個々の回旋運動と関連する。我々は,下肢内旋の運動範囲は,膝屈曲角度条件が異なると,膝関節よりも股関節と足関節の運動範囲に大きく影響することを報告した。しかし,下肢内旋運動中のどの範囲内で影響が大きいかは不明であった。そこで,本研究の目的は,股関節内旋と足関節の運動範囲が,下肢内旋の全運動範囲中のうちどの区間で影響が大きいかを明らかにすることとした。
【方法】
対象は,20名の健常者(男性7名,女性13名:平均年齢25.4±5.9歳)とした。三次元動作解析装置(Motion analysis社製)を使用して,被験者の身体の67か所に反射マーカーを貼付し,右下肢全体の内旋運動(TIR)を計測した。TIRは,床面に置かれた水平回転盤上に右足底面を接地して行わせた。条件は,立位(ST),膝屈曲30度のハーフスクワット肢位(HS30),膝屈曲60度のハーフスクワット肢位(HS60),座位(Sit)の4条件とした。解析は,Vidual3D(株式会社C-motion社製)を使用し,骨盤(CODA model),大腿と下腿(Surface-marker cluster model),足部(Modified IOR foot model)の各セグメント間の関節角度(Cardan角)を求めた。各関節の運動はTIRの開始から最大までの時間によって正規化し,10%毎に区分けして足関節内転運動の角度変化量と股関節内旋運動および足関節回外運動の角度変化量との間について相関関係を求めた。統計学的分析にはピアソンの相関係数を調べ,有意水準は5%未満とした。
【結果】
足関節内転運動と股関節内旋運動との間で有意な相関が認められたのは,STで初期10%と最終区間100%(r=0.63,0.53,p<0.05),HS30で終期80%と90%(r=0.51,0.51,p<0.05),HS60で中期50%と60%(r=0.58,0.60,p<0.05),Sitで初期10%と20%(r=0.55,0.66,p<0.05)であった。足関節内転運動と足関節回外運動との間で有意な相関が認められたのは,HS30,HS60,Sitでは初期から最終まですべての区間であり,ほとんどの区間で相関係数が0.8以上(p<0.001)を示した。一方,STも相関係数は終始高かったが,区間30%,40%,50%,60%で相関係数が0.7未満(p<0.01)を示し,他の区間と比べやや低かった。
【結論】
足関節内転運動が股関節内旋運動と連動して生じるのは,膝屈曲角度によって異なり,膝伸展位と膝屈曲位では運動開始初期と最終期,膝軽度屈曲位では運動中期から最終期である。足関節内転運動が足関節回外運動と連動して生じるのは,STのような膝伸展位では運動開始初期と終期である。
足関節内反捻挫は,方向転換動作やジャンプ着地動作などにおいて下肢の各関節の回旋運動を伴って発生することが多い。我々は,足関節内反捻挫の発生要因の一つとして股関節内旋可動域があることを報告した。また,下肢全体の回旋運動は,股関節・膝関節・足関節の個々の回旋運動と関連する。我々は,下肢内旋の運動範囲は,膝屈曲角度条件が異なると,膝関節よりも股関節と足関節の運動範囲に大きく影響することを報告した。しかし,下肢内旋運動中のどの範囲内で影響が大きいかは不明であった。そこで,本研究の目的は,股関節内旋と足関節の運動範囲が,下肢内旋の全運動範囲中のうちどの区間で影響が大きいかを明らかにすることとした。
【方法】
対象は,20名の健常者(男性7名,女性13名:平均年齢25.4±5.9歳)とした。三次元動作解析装置(Motion analysis社製)を使用して,被験者の身体の67か所に反射マーカーを貼付し,右下肢全体の内旋運動(TIR)を計測した。TIRは,床面に置かれた水平回転盤上に右足底面を接地して行わせた。条件は,立位(ST),膝屈曲30度のハーフスクワット肢位(HS30),膝屈曲60度のハーフスクワット肢位(HS60),座位(Sit)の4条件とした。解析は,Vidual3D(株式会社C-motion社製)を使用し,骨盤(CODA model),大腿と下腿(Surface-marker cluster model),足部(Modified IOR foot model)の各セグメント間の関節角度(Cardan角)を求めた。各関節の運動はTIRの開始から最大までの時間によって正規化し,10%毎に区分けして足関節内転運動の角度変化量と股関節内旋運動および足関節回外運動の角度変化量との間について相関関係を求めた。統計学的分析にはピアソンの相関係数を調べ,有意水準は5%未満とした。
【結果】
足関節内転運動と股関節内旋運動との間で有意な相関が認められたのは,STで初期10%と最終区間100%(r=0.63,0.53,p<0.05),HS30で終期80%と90%(r=0.51,0.51,p<0.05),HS60で中期50%と60%(r=0.58,0.60,p<0.05),Sitで初期10%と20%(r=0.55,0.66,p<0.05)であった。足関節内転運動と足関節回外運動との間で有意な相関が認められたのは,HS30,HS60,Sitでは初期から最終まですべての区間であり,ほとんどの区間で相関係数が0.8以上(p<0.001)を示した。一方,STも相関係数は終始高かったが,区間30%,40%,50%,60%で相関係数が0.7未満(p<0.01)を示し,他の区間と比べやや低かった。
【結論】
足関節内転運動が股関節内旋運動と連動して生じるのは,膝屈曲角度によって異なり,膝伸展位と膝屈曲位では運動開始初期と最終期,膝軽度屈曲位では運動中期から最終期である。足関節内転運動が足関節回外運動と連動して生じるのは,STのような膝伸展位では運動開始初期と終期である。