第52回日本理学療法学術大会

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日本地域理学療法学会 » 口述発表

[O-TK-03] 口述演題(地域)03

2017年5月12日(金) 14:10 〜 15:10 A4会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室301)

座長:樋口 由美(大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科)

日本地域理学療法学会

[O-TK-03-5] 地域在住高齢者に対する咳嗽力改善プログラムの長期効果の検討

鈴木 あかり, 金子 秀雄 (国際医療福祉大学福岡保健医療学部)

キーワード:地域在住高齢者, 咳嗽力, 介入研究

【はじめに,目的】

咳嗽力の指標である咳嗽時最大呼気流量(CPF)は誤嚥性肺炎予防に重要な要素の一つである。地域在住高齢者の約2割は自己排痰に必要なCPFが保たれておらず,誤嚥性肺炎のリスクを高めないためにもCPF低下の予防が必要と考えられる。我々は先行研究にてCPF改善を目的とした1カ月間の咳嗽力改善プログラムを作成し,プログラムの咳嗽力改善に対する有効性を報告した。そこで本研究では6カ月間のプログラムの長期効果について検証した。

【方法】

対象は地域在住で介護予防事業(一次予防事業)に参加している65歳以上かつ歩行が自立している高齢者37名(男性13名,女性24名,平均年齢78±6歳)とした。咳嗽力改善プログラムはハーフカットポール上背臥位(5分間/日),呼気筋トレーニング(25回/日),CPFの確認(数回)からなり,自宅にて週5回以上,4週間行うように指導した。呼気筋トレーニングは逆向きにしたThreshold IMTを用い,最大呼気圧(MEP)の30~50%の呼気抵抗負荷で呼気を行わせ,2週後にMEPの再測定を行い,呼気抵抗負荷を調整した。CPFの確認にはピークフローメータを用いた。また,プログラム開始から4週間は実施状況を確認するための日誌を記録させた。その後は日誌の記録は指示せず,各自のペースで最低週1回はプログラムを行うよう指導し,6カ月後に4週以降の実施状況を聴取した。介入前,介入後(1カ月後),6カ月後における測定項目は咳嗽力としてCPF,呼吸機能として努力性肺活量(FVC),最大吸気圧(MIP),MEP,胸腹部可動性とした。CPF測定にはフェイスマスクとピークフローメータを用い,最大吸気位から最大努力での咳嗽を行わせた。FVC測定にはスパイロメータを,MIPとMEP測定には口腔内圧計を用い,それぞれガイドラインに準じて測定を行った。CPF,FVC,MIP,MEPの測定は各3回行い,最大値を採用した。胸腹部可動性は呼吸運動測定器を用いて,上部胸郭,下部胸郭,腹部における深呼吸時の呼吸運動の大きさを呼吸運動評価スケール(0~8)で表し,スケール値の合計(0~24)を2回測定し最大値を求めた。介入による長期効果を検証するため,時期(介入前,介入後,6カ月後)を要因とした線型混合モデルと多重比較検定を用いた。

【結果】

FVC以外のCPF,MIP,MEP,スケール値において,時期に主効果を認めた。時期の比較では,介入前と比較し,CPFは介入後に有意な増大を認め,MIPは介入後と6カ月後に有意な増大を認めた。MEPとスケール値は介入前と比較し,6カ月後に有意な増大を認めた。

【結論】



地域在住高齢者に対する1カ月間の咳嗽力改善プログラムの結果,CPFとMIPが有意に増大した。また,6カ月後の長期効果として,MIPの維持とMEP,胸腹部可動性を増大させる可能性が示唆された。今後もより効果的なプログラム作成のため,内容や期間を検討していく必要があると考える。