第52回日本理学療法学術大会

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日本糖尿病理学療法学会 » ポスター発表

[P-DM-04] ポスター(糖尿病)P04

2017年5月13日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本糖尿病理学療法学会

[P-DM-04-4] 糖尿病足病変による小切断患者の在院日数に与える影響因子に関する検討

今岡 信介, 佐藤 浩二, 古川 雅英 (社会医療法人敬和会大分岡病院)

キーワード:糖尿病足病変, 小切断, 在院日数

【はじめに,目的】

近年,糖尿病足病変患者に対する集学的治療の進展に伴い救肢率は向上し,リハビリテーション介入の重要性が示される一方で足病変の治癒過程においては血行再建術や外科的治療が複数回必要となり,入院期間が長期化する症例を経験する。本研究においては,糖尿病足病変による小切断患者の在院日数に与える影響因子を明らかにすることを目的とする。

【方法】

対象は平成25年4月から平成27年3月に当院形成外科病棟に糖尿病足潰瘍,虚血性潰瘍で入院となり小切断術を施行し,リハビリテーション介入を行った98例中(術後合併症による急性増悪,死亡退院を除く)十分に評価可能であった72例(男性42名,女性30名,平均年齢71.2±6.7歳)とした。調査項目は,年齢,性別,Body Mass Index(BMI),切断高位(趾切断,横断的中足骨切断術,ショパール切断),術前血液検査(CRP,WBC,ALB),人工透析の有無,入退院時Barthel Index(B.I),入退院時移動能力(実用歩行,車椅子),術前Weight Bearing Index(WBI),転帰先(在宅,転院),平均提供単位数(総取得単位/在院日数)について診療録より後方視的に調査した。統計学的解析は,Spearmanの順位相関係数を用いて在院日数と各調査項目の相関係数を検定した。さらに,在院日数を従属変数とし,在院日数と相関関係を認めた項目を独立変数としStepwise法にて重回帰分析を行った。また,多重共線性を考慮するため,説明変数間で高い相関があるものを確認した。統計ソフトは,SPSS Statistics 22.0(IBM社製)を用い,有意水準は5%とした。

【結果】

在院日数は,年齢(r=0.58),HDS-R(r=-0.51),免荷期間(r=-0.74),切断高位(r=0.53)平均提供単位数(r=-0.42),WBI(r=-0.49)と有意な相関関係が確認された。さらに在院日数を従属変数とした重回帰分析において,免荷期間(β=0.54),平均提供単位数(β=-0.20),HDS-R(β=-0.28),切断高位(β=-0.24)が影響因子として抽出された(決定係数R2=0.56,p<0.01)。

【結論】

本研究では,免荷期間,平均提供単位数,HDS-R,切断高位が抽出された。抽出因子の内,HDS-R,切断高位に関しては不変的な要素であるが,免荷期間,平均提供単位数に関しては介入方法の工夫が可能な因子である。一般的に糖尿病足病変患者の多くは高齢かつ併存疾患も多く,術後免荷期間において心身機能の低下を招く危険性が高い。在院日数の短縮に向けては,免荷期間の短縮を図ると共に術後早期より十分なリハビリテーション介入を行うことが重要な要素と考えられた。