第52回日本理学療法学術大会

講演情報

日本理学療法教育学会 » ポスター発表

[P-ED-01] ポスター(教育)P01

2017年5月12日(金) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-01-1] 入学前教育における問題集学習者と映像教育学習者の比較

小関 友記1, 萩田 満也2, 靖 大錚1 (1.仙台青葉学院短期大学リハビリテーション学科, 2.株式会社ナガセビジネススクール本部大学事業部)

キーワード:学習支援, 入学前教育, 映像教育

【はじめに】

当学では学生の学習習慣確立と基礎学力向上を支援するため,入学前教育に取り組んでいる。平成27年度入学生までは生物及び現代文の問題集を配布する方法を行っていたが,平成28年度からはその方法に加え,株式会社ナガセと提携しDVDによる映像教育を希望者に導入した。その効果について検証するため,入学前教育に関するアンケートを実施し,結果をここに報告する。

【方法】

平成28年度当学入学試験合格者のうち平成27年内に合格を決定した者全員に対し,生物及び現代文の問題集配布を実施した。問題集は入学後オリエンテーションにて回収し,実行状況を4段階で判定し,解答と共に返却した。また合格者のうち,希望者に対して有料で生物+数学及び現代文の映像教育を実施した。映像教育は授業を録画したDVDを視聴した後,期日までに課題を提出し添削を受ける。また進行状況に合わせて電話確認を受けるものである。その後,平成28年4月に平成28年度当学入学生で研究に同意を得た120名(男性59名,女性61名,平均年齢19.4±3.6歳)に対し,入学前教育に関するアンケートを実施した。アンケートの内容は入学前教育に対する計画性,当学教育との関連性,学習習慣に対して主観的に6段階で評価するものと,入学前の自己学習時間と現在の自己学習時間,そして入学前教育で良かった事及び入学前教育で悪かった事について自由記述で確認する項目からなる。そのアンケート内容について,配布問題集のみを実施した群66名(以下,「問題集群」)と,配布問題集に加えて映像教育を行った群15名(以下,「映像教育群」)の比較を行った。入学前教育に対する計画性,当学教育との関連性,学習習慣,入学前の自己学習時間,現在の自己学習時間,配布問題集実行状況について対応のないt検定にて比較を行った。統計学的検定はSPSS ver.22を用い有意水準は5%とした。また自由記述項目はコーディングを行い集計し,記述内容の比率を比較した。

【結果】

入学前教育に対する計画性及び配布問題集実行状況に関して,問題集群に対して映像教育群は有意に平均が高かった(p<0.05)。自由記述項目の比較では,「勉強する機会が得られた」「学習習慣がついた」記述は問題集群が77%,映像教育群が94%であった。「課題遂行の難しさ」「理解困難」記述は問題集群では38%みられたが,映像教育群ではみられなかった。

【結論】

問題集群に比較して映像教育群は学習を計画的に出来たと実感しており,また課題遂行や理解に関しても映像教育群の方が良いことを示す結果を得られた。これは電話確認によって学習計画確立が図られ,かつ課題の添削結果が速やかに得られることや繰り返し授業映像を確認できる事で,実行に対する結果のフィードバックが良好なタイミングで得られたことによると考えられる。またその経験を基盤に理解や自信が深まったため,配布問題集の実行状況も高まったと考えられる。