The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本理学療法教育学会 » ポスター発表

[P-ED-02] ポスター(教育)P02

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-02-2] 解剖学の講義にアクティブ・ラーニングを導入した学生の学習効果

大友 篤, 森永 雄, 鈴木 裕治, 大和田 宏美 (仙台青葉学院短期大学)

Keywords:アクティブ・ラーニング, 自己学習時間, 学習自己効力感

【はじめに,目的】文部科学省中央教育審議会の教育についての諮問に対する答申の中で,生きる力とは,「自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力であり,また,自らを律しつつ,他人とともに協調すること」であると述べている。理学療法士は,対象者の訴えや症状から病態を把握し,仮説に基づき検査を行い適した介入を行う臨床推論的思考などの問題を解決する能力,コミュニケーション能力が求められる。しかし,近年の理学療法士養成校の増加や少子化による学生数の減少により,理学療法士養成校に入学する学生の学力低下・コミュニケーションの能力の低下などが問題となっている。そのため,学生が大学生活を送る上で不可欠となる学習能力や生活習慣を身に付けるための初年次教育(First Year Experience)が重要である。本研究の目的は,本学でも初年次教育を重視し,理学療法士に必要な能力(臨床推理的思考・コミュニケーション)の向上のために,解剖学の講義にアクティブ・ラーニング(能動的学習)を取り入れ,学生の学習に対する変化を調査することである。

【方法】対象は,本学に入学した1年生71名(男性33名,女性38名)とした。解剖学の講義は,主に人体構造のイメージ化を図り,講義を通して自己の学習習慣を身に着けることを目的とし,骨・筋模型標本を用いてのグループワークを中心としたアクティブ・ラーニングを導入した。解剖学の講義終了後に自記式アンケートを実施し,平日の自主学習時間と休日の自主学習時間,学習自己効力感について評価した。アクティブ・ラーニングを取り入れた講義後の学生の学習に対する意欲の変化を捉えるために,解剖学講義前後での自己学習時間(1週間の平均時間)の変化については,対応のあるt検定を行い,また目的変数を学習自己効力感,説明変数を自己学習時間(3分位)とし一元配置分散分析を行った。すべての統計解析はSPSSVer11(IBM)を使用した。

【結果】自己学習時間が延長した学生は,全体の64.8%であった。解剖学講義前の自己学習時間(76分)と講義後の自己学習時間(101分)を比較した結果,解剖学講義後の自己学習時間が有意に延長していた(p<0.05)。しかし,自己学習時間延長と学習自己効力感との関連性は認められなかった。

【結語】自主学習時間延長と学習自己効力感との関連性は認められなかったが,アクティブ・ラーニングを取り入れた解剖学の講義後に学生の自己学習時間が延長したことは,能動的に学ぼうとする学生の学習に対する行動の変化の現れであることが考えられる。今後,初年度教育の必要性やアクティブ・ラーニングを取り入れた講義の有効性について継続した調査を行っていきたい。