[P-NV-01-1] GEAR・BEARを連続して実施した片麻痺の1症例
歩行の変化に着目して
キーワード:ロボット, 歩行訓練, バランス訓練
【目的】
歩行練習アシスト(Gait Exercise Assist Robot;GEAR)はロボットユニットとトレッドミルにより構成され,ロボットのモーターにて立脚期の支持と遊脚期の振り出しを定量的に補助できる。バランス練習アシスト(Balance Exercise Assist Robot;BEAR)は,立ち乗り型パーソナルモビリティWingletを用い,ゲームモニタと連動した3種類のゲームにより重心移動練習(前後/左右)と外乱対処練習を行うことができる。
今回,GEAR・BEARを連続して実施し,歩行速度に変化を認めた症例を報告する。
【対象と方法】
対象は当院入院中の視床出血,右片麻痺の50代女性。GEAR練習は第17~56病日に計25回,BEAR練習は第57~88病日に計16回実施した。各練習は1日40分,個別リハは平均1日6単位とした。
評価は,GEAR開始(I期;第14病日)~中間(II期;第42病日)~GEAR-BEAR移行時(III期;第56病日)~BEAR中間(IV期;第73病日)~終了時(V期;第88病日)に実施した。
項目は,GEAR・BEAR共通でSIAS下肢運動機能(SIAS-m)HipFlexion-KneeExtension-FootPat,下肢感覚機能(SIAS-s)触覚-位置覚,歩行状況,10m歩行とした。III期以降Berg Balance Scale(BBS)を追加した。
【結果】
I期はSIAS-m 1-2-1,SIAS-s 1-2。歩行は短下肢装具(AFO(足継ぎ手:背屈3°固定))と4点杖を使用し3動作前型歩行で中等度介助,79秒/10m(34歩)であった。麻痺側は膝折れがあり,振り出しも困難で杖の過剰使用がみられたため,GEAR練習ではロボットの段階的な補助量の調整を検討した。
II期はSIAS-m 3-3-3,SIAS-s 3-3,歩行はAFOと4点杖で2動作前型,見守り,26秒/10m(33歩)であった。2動作前型歩行を獲得したため,歩行速度の向上を目指した。
III期はSIAS-m 3-4-3,SIAS-s 3-3,歩行はAFOとT字杖で2動作前型,病棟内修正自立,15秒/10m(23歩)であった。BBSは45点であった。
IV期とV期ともにSIAS-m,SIAS-sに変化はなかったが,歩行は,麻痺側の膝折れが改善し,AFO(IV期:背屈3~6°遊動,V期:背屈3~15°遊動)と杖なしで病棟内自立,AFOとT字杖で屋外歩行自立となった。IV期/V期順に10m歩行時間(T字杖使用)は16秒/10m(26歩)/15秒/10m(22歩),BBSは51/53点(改善項目:踏み台昇降・一回転・タンデム立位・片脚立位)であった。
【結論】
本症例の歩行は,発症初期から麻痺側遊脚期で非麻痺側への重心移動が不十分であったため,杖の過剰使用で振り出しを補助する3動作歩行となっていた。GEAR練習は,歩行時によるロボットのアシストで非麻痺側への重心移動と,立脚後期から遊脚期の麻痺側の膝屈曲が可能になり2動作前型歩行が獲得できた。その結果,歩行速度が改善したと考えた。その後のBEAR練習が,麻痺側立脚期の安定を促し,AFOの足継ぎ手を遊動に変更できたと考えられた。GEAR練習で獲得した歩行速度はBEAR期間も維持され,終了時評価で歩幅が拡大した。歩幅の拡大は踏み台昇降等の比較的高度なバランスが改善したためと考えた。
歩行練習アシスト(Gait Exercise Assist Robot;GEAR)はロボットユニットとトレッドミルにより構成され,ロボットのモーターにて立脚期の支持と遊脚期の振り出しを定量的に補助できる。バランス練習アシスト(Balance Exercise Assist Robot;BEAR)は,立ち乗り型パーソナルモビリティWingletを用い,ゲームモニタと連動した3種類のゲームにより重心移動練習(前後/左右)と外乱対処練習を行うことができる。
今回,GEAR・BEARを連続して実施し,歩行速度に変化を認めた症例を報告する。
【対象と方法】
対象は当院入院中の視床出血,右片麻痺の50代女性。GEAR練習は第17~56病日に計25回,BEAR練習は第57~88病日に計16回実施した。各練習は1日40分,個別リハは平均1日6単位とした。
評価は,GEAR開始(I期;第14病日)~中間(II期;第42病日)~GEAR-BEAR移行時(III期;第56病日)~BEAR中間(IV期;第73病日)~終了時(V期;第88病日)に実施した。
項目は,GEAR・BEAR共通でSIAS下肢運動機能(SIAS-m)HipFlexion-KneeExtension-FootPat,下肢感覚機能(SIAS-s)触覚-位置覚,歩行状況,10m歩行とした。III期以降Berg Balance Scale(BBS)を追加した。
【結果】
I期はSIAS-m 1-2-1,SIAS-s 1-2。歩行は短下肢装具(AFO(足継ぎ手:背屈3°固定))と4点杖を使用し3動作前型歩行で中等度介助,79秒/10m(34歩)であった。麻痺側は膝折れがあり,振り出しも困難で杖の過剰使用がみられたため,GEAR練習ではロボットの段階的な補助量の調整を検討した。
II期はSIAS-m 3-3-3,SIAS-s 3-3,歩行はAFOと4点杖で2動作前型,見守り,26秒/10m(33歩)であった。2動作前型歩行を獲得したため,歩行速度の向上を目指した。
III期はSIAS-m 3-4-3,SIAS-s 3-3,歩行はAFOとT字杖で2動作前型,病棟内修正自立,15秒/10m(23歩)であった。BBSは45点であった。
IV期とV期ともにSIAS-m,SIAS-sに変化はなかったが,歩行は,麻痺側の膝折れが改善し,AFO(IV期:背屈3~6°遊動,V期:背屈3~15°遊動)と杖なしで病棟内自立,AFOとT字杖で屋外歩行自立となった。IV期/V期順に10m歩行時間(T字杖使用)は16秒/10m(26歩)/15秒/10m(22歩),BBSは51/53点(改善項目:踏み台昇降・一回転・タンデム立位・片脚立位)であった。
【結論】
本症例の歩行は,発症初期から麻痺側遊脚期で非麻痺側への重心移動が不十分であったため,杖の過剰使用で振り出しを補助する3動作歩行となっていた。GEAR練習は,歩行時によるロボットのアシストで非麻痺側への重心移動と,立脚後期から遊脚期の麻痺側の膝屈曲が可能になり2動作前型歩行が獲得できた。その結果,歩行速度が改善したと考えた。その後のBEAR練習が,麻痺側立脚期の安定を促し,AFOの足継ぎ手を遊動に変更できたと考えられた。GEAR練習で獲得した歩行速度はBEAR期間も維持され,終了時評価で歩幅が拡大した。歩幅の拡大は踏み台昇降等の比較的高度なバランスが改善したためと考えた。