[P-NV-06-2] 定量評価による錐体路損傷程度と身体機能における関係性について
キーワード:錐体路損傷, CT値, 予後予測
【はじめに,目的】
脳血管疾患における理学療法を実施する上で,画像所見を用いADLや運動機能の予後を推察する際,病変部位の形状,病巣の大きさや損傷部位が影響する報告が散見される一方,病変部位の損傷指標や損傷程度を示す報告は少ない。今回,その定量評価方法としてCT値を利用し,身体機能の関係性を調査したため報告する。
【方法】
対象は平成27年4月1日~平成28年7月31日の期間,当院回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟の退院患者のうち,初発の脳梗塞患者且つ病前FIM126点とし,頭部CT所見にて小脳テント上病変且つ側脳室体部レベル以下病変と限定し,両側半球障害および内包後脚損傷者を除外した22例とした。平均年齢72.1(62-85)歳,男性16例,女性6例,入院病日平均は28.1±12.5日。GE社製CTにて,リハ病棟入院時の頭部所見にて側脳室体部レベル断面を用い,側脳室外側前極部をA,後極部をP,島皮質をIとし,線APに直行するIより側脳室外側壁部到達点をVとした。Young-Mok Songら結果を改変し,錐体路中心点を同定。下肢錐体路(以下下肢)中心点をAP×0.3 IV×0.5と設定し,Region of Interest(以下ROI)にてCT値を算出。
損傷側と非損傷側のCT値比 Damage side of CT value/Undamaged side of CT value(以下D/U ratio)を算出。計測方法はReformatを利用し,ROI範囲をvertical diameterおよびhorizontal diameterを5mm,6mm,7mm,8mm,9mmの5方法で設定。
退院時機能評価は,Brunnstrom recovery stage(以下BRS)下肢,Berg Balance Scale(以下BBS),Stroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)下肢を用いD/U ratioとの相関を算出。
Spearman順位相関係数および回帰分析を実施。また,退院時の屋内外活動において車椅子脱却群,非脱却群を目的変数,説明変数にD/U ratioとしたロジスティック回帰分析を実施。統計学的有意水準を5%とした。
【結果】
ROI設定5方法でのD/U ratioと全機能評価項目において強相関(P<0.01)を示したが,最も強い相関を示した設定は5mmであった。D/U ratioと機能評価における(r,R-Squared)結果は,下肢中心点ROI 5mmで,BRS下肢(0.907,0.822),BBS(0.901,0.822),SIAS下肢(0.881,0.777)であった。車椅子脱却群/非脱却群の比較は19例/3例で,有意差を認めた設定は下肢中心点ROI 7mmでD/U ratio 0.983±0.06/0.626±0.1)であった。
【結論】
入院時頭部CT所見にて,側脳室体部レベル断面で錐体路中心点を,下肢点AP×0.3 IV×0.5で,直径5mm~9mmの円内を錐体路が通過する事が予測され,その範囲でのD/U ratioの数値と身体機能における強い関係性が示された。この事から,損傷程度を示す指標および,予後予測する手段としてのCT値を用いたD/Uratioの有効的活用が期待できる。また,移動予後として,車椅子からの脱却可能かの指標としてD/U ratioを用いての予後予測も示唆できる。
脳血管疾患における理学療法を実施する上で,画像所見を用いADLや運動機能の予後を推察する際,病変部位の形状,病巣の大きさや損傷部位が影響する報告が散見される一方,病変部位の損傷指標や損傷程度を示す報告は少ない。今回,その定量評価方法としてCT値を利用し,身体機能の関係性を調査したため報告する。
【方法】
対象は平成27年4月1日~平成28年7月31日の期間,当院回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟の退院患者のうち,初発の脳梗塞患者且つ病前FIM126点とし,頭部CT所見にて小脳テント上病変且つ側脳室体部レベル以下病変と限定し,両側半球障害および内包後脚損傷者を除外した22例とした。平均年齢72.1(62-85)歳,男性16例,女性6例,入院病日平均は28.1±12.5日。GE社製CTにて,リハ病棟入院時の頭部所見にて側脳室体部レベル断面を用い,側脳室外側前極部をA,後極部をP,島皮質をIとし,線APに直行するIより側脳室外側壁部到達点をVとした。Young-Mok Songら結果を改変し,錐体路中心点を同定。下肢錐体路(以下下肢)中心点をAP×0.3 IV×0.5と設定し,Region of Interest(以下ROI)にてCT値を算出。
損傷側と非損傷側のCT値比 Damage side of CT value/Undamaged side of CT value(以下D/U ratio)を算出。計測方法はReformatを利用し,ROI範囲をvertical diameterおよびhorizontal diameterを5mm,6mm,7mm,8mm,9mmの5方法で設定。
退院時機能評価は,Brunnstrom recovery stage(以下BRS)下肢,Berg Balance Scale(以下BBS),Stroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)下肢を用いD/U ratioとの相関を算出。
Spearman順位相関係数および回帰分析を実施。また,退院時の屋内外活動において車椅子脱却群,非脱却群を目的変数,説明変数にD/U ratioとしたロジスティック回帰分析を実施。統計学的有意水準を5%とした。
【結果】
ROI設定5方法でのD/U ratioと全機能評価項目において強相関(P<0.01)を示したが,最も強い相関を示した設定は5mmであった。D/U ratioと機能評価における(r,R-Squared)結果は,下肢中心点ROI 5mmで,BRS下肢(0.907,0.822),BBS(0.901,0.822),SIAS下肢(0.881,0.777)であった。車椅子脱却群/非脱却群の比較は19例/3例で,有意差を認めた設定は下肢中心点ROI 7mmでD/U ratio 0.983±0.06/0.626±0.1)であった。
【結論】
入院時頭部CT所見にて,側脳室体部レベル断面で錐体路中心点を,下肢点AP×0.3 IV×0.5で,直径5mm~9mmの円内を錐体路が通過する事が予測され,その範囲でのD/U ratioの数値と身体機能における強い関係性が示された。この事から,損傷程度を示す指標および,予後予測する手段としてのCT値を用いたD/Uratioの有効的活用が期待できる。また,移動予後として,車椅子からの脱却可能かの指標としてD/U ratioを用いての予後予測も示唆できる。