[P-NV-08-1] 回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中高齢患者の入院時GNRIが1ヶ月後のFIM運動利得に及ぼす影響
キーワード:脳卒中回復期, GNRI, FIM利得
【はじめに,目的】
リハビリテーション病院に入院中の脳卒中後の患者の8.2~49%が低栄養であると報告されている。低栄養は急性期病院への再入院や入院期間の延長につながるとの報告もあり,近年リハビリテーション栄養が注目されている。2005年に栄養評価の指標として開発されたGeriatric Nutrition Risk Index(GNRI)は死亡率,合併症発症率などとの関連が報告されている。しかし,回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中患者における報告は少ない。そこで,本研究は回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中高齢患者において,入院時GNRIが1ヶ月後のFIM運動利得に及ぼす影響を調査し,GNRIを用いた栄養評価の有用性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2013年4月~2015年3月にA病院回復期リハビリテーション病棟へ脳卒中の診断で新規入院した87例を後方視的に検討した。除外基準は①65歳未満,②30日以内に退院,③入院1週間以内に絶食,肺炎発症とした。解析項目は,年齢,性別,既往歴,入院日数,リハビリ実施単位数,入院時のGNRI,FIM,エネルギー摂取量,1ヶ月後のFIM運動利得(1ヶ月後FIM運動項目-入院時FIM運動項目),転帰とした。GNRIは14.89*血清アルブミン値(g/dl)+41.7*Body Mass Index(BMI)/22で求めた。まずGNRI高値(≧92)群とGNRI低値(<92)群の2群に分類し,各解析項目の群間比較を行った。群間比較は変数特性に応じてMann Whitney U検定,Fisherの正確検定を用い解析を行った。その後,目的変数をFIM運動利得高値,説明変数をGNRI,年齢,入院時FIMとした多変量ロジスティック回帰分析にて解析を行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】
本研究の包含基準を満たした対象者は59例[年齢:80(75-86)歳]でGNRI高値群33例,低値群26例であった。GNRI低値群は高値群に比べ,BMI(18.7 vs 22.8 kg/m2,p<0.01),Alb(3.4 vs 3.8 g/dl,p<0.01),GNRI(86.0 vs 99.9点,p<0.01),入院時FIM(48 vs 74点,p<0.01),1ヶ月後のFIM運動利得(3 vs 5点,p<0.05),在宅復帰率(46.2 vs 78.8%,p<0.05)は有意差をもって低値を示した。一方でエネルギー摂取量は有意差を持って高値を示した(29.5 vs 25.0kcal/kg/day,p<0.05)。その他の項目には有意な差を認めなかった。また,多変量ロジスティック回帰分析の結果,FIM運動利得高値(≧4)の要因はGNRIのみ有意であった(odds ratio:1.08,95%CI:1.01-1.16,p<0.05)。
【結論】
本研究の結果よりGNRI低値群は高値群に比べ1ヶ月後のFIM運動利得が低く,年齢と入院時FIMを調整した上でも入院時GNRIが低いと,1ヶ月後のFIM利得は低いことが示された。GNRIによる栄養評価と介入を行うことで短期間のFIM運動利得改善につながる可能性が示唆された。
リハビリテーション病院に入院中の脳卒中後の患者の8.2~49%が低栄養であると報告されている。低栄養は急性期病院への再入院や入院期間の延長につながるとの報告もあり,近年リハビリテーション栄養が注目されている。2005年に栄養評価の指標として開発されたGeriatric Nutrition Risk Index(GNRI)は死亡率,合併症発症率などとの関連が報告されている。しかし,回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中患者における報告は少ない。そこで,本研究は回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中高齢患者において,入院時GNRIが1ヶ月後のFIM運動利得に及ぼす影響を調査し,GNRIを用いた栄養評価の有用性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2013年4月~2015年3月にA病院回復期リハビリテーション病棟へ脳卒中の診断で新規入院した87例を後方視的に検討した。除外基準は①65歳未満,②30日以内に退院,③入院1週間以内に絶食,肺炎発症とした。解析項目は,年齢,性別,既往歴,入院日数,リハビリ実施単位数,入院時のGNRI,FIM,エネルギー摂取量,1ヶ月後のFIM運動利得(1ヶ月後FIM運動項目-入院時FIM運動項目),転帰とした。GNRIは14.89*血清アルブミン値(g/dl)+41.7*Body Mass Index(BMI)/22で求めた。まずGNRI高値(≧92)群とGNRI低値(<92)群の2群に分類し,各解析項目の群間比較を行った。群間比較は変数特性に応じてMann Whitney U検定,Fisherの正確検定を用い解析を行った。その後,目的変数をFIM運動利得高値,説明変数をGNRI,年齢,入院時FIMとした多変量ロジスティック回帰分析にて解析を行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】
本研究の包含基準を満たした対象者は59例[年齢:80(75-86)歳]でGNRI高値群33例,低値群26例であった。GNRI低値群は高値群に比べ,BMI(18.7 vs 22.8 kg/m2,p<0.01),Alb(3.4 vs 3.8 g/dl,p<0.01),GNRI(86.0 vs 99.9点,p<0.01),入院時FIM(48 vs 74点,p<0.01),1ヶ月後のFIM運動利得(3 vs 5点,p<0.05),在宅復帰率(46.2 vs 78.8%,p<0.05)は有意差をもって低値を示した。一方でエネルギー摂取量は有意差を持って高値を示した(29.5 vs 25.0kcal/kg/day,p<0.05)。その他の項目には有意な差を認めなかった。また,多変量ロジスティック回帰分析の結果,FIM運動利得高値(≧4)の要因はGNRIのみ有意であった(odds ratio:1.08,95%CI:1.01-1.16,p<0.05)。
【結論】
本研究の結果よりGNRI低値群は高値群に比べ1ヶ月後のFIM運動利得が低く,年齢と入院時FIMを調整した上でも入院時GNRIが低いと,1ヶ月後のFIM利得は低いことが示された。GNRIによる栄養評価と介入を行うことで短期間のFIM運動利得改善につながる可能性が示唆された。