第52回日本理学療法学術大会

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[P-NV-14] ポスター(神経)P14

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-14-1] リハビリテーション適応となった被殻出血症例の頭部CT画像の検討~第1報~
初期画像と経過画像の比較における血腫吸収の部位の調査

藤井 杏美1, 小笹 佳史1, 迫 力太郎1, 長谷川 絵里1, 石井 舞子2, 下名 久美子3, 大野 範夫1 (1.昭和大学藤が丘リハビリテーション病院, 2.藤沢湘南台病院, 3.桜ケ丘中央病院)

キーワード:被殻出血, 頭部CT画像, 予後予測

【はじめに,目的】

被殻出血の予後予測は,脳卒中外科学会で考案されたCT分類が有用であるとされている。我々は第51回学術大会において,回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)に入棟した被殻出血症例の発症時の頭部CT画像(以下,初期画像)と完全に低吸収域となった頭部CT画像(以下,経過画像)を脳卒中外科研究会のCT分類を参考に,血腫吸収の部位を調査した。その結果,約75%は高吸収域と同部位で低吸収域となることがわかり,初期画像を検討することである程度低吸収域の部位を予測できることを報告した。一方,約25%は血腫吸収の傾向にばらつきがみられた。そこで今回,その約25%の詳細な検討を,症例数を増やし行うことを目的とした。



【方法】

対象は,2010年10月から2016年6月に回リハ病棟入棟後,理学療法を施行した被殻出血症例93例中,初期画像と経過画像が得られた57例(脳室穿破19例,手術施行17例を含む)とした(前回報告から12例追加)。平均年齢は64.6±12.8歳,性別は男性33例,女性24例であった。平均在院日数は131.0±53.4日,発症から入棟までの平均日数は29.1±25.6日であった。検討内容は,初期画像を脳卒中外科研究会の被殻出血CT分類でI~Vb(以下,初期分類)の9パターンに分類した。経過画像を初期分類に照らし合わせてI~V(以下,経過分類)の5パターンに分類した(脳室穿破像の有無を表すa,bはなしとした)。また初期分類と経過分類で,分類に変化がなかったもの(以下,変化なし群)の特徴と,変化があったもの(以下,変化あり群)の特徴を比較し,さらに,変化あり群について詳細な検討を行った。



【結果】

CT分類により,変化なし群が43例(約75%),変化あり群が14例(約25%)であり,前回と同じ比率であった。変化なし群は,分類の主たる病巣に血腫が限局または進展しており,脳室圧排・穿破例が多かった。一方変化あり群は,分類の主たる病巣よりも血腫が外側偏倚しているものや分類の病巣に僅かに進展するものがみられた。また,血腫が発症時から小さいものや手術施行例が多く,脳室圧排・穿破例は少なかった。



【結論】

変化あり群は初期画像において,内包外側へ血腫が進展しているもの,内包前脚,後脚,視床に血腫が進展していても極僅かなものであり,経過に伴い血腫は吸収され主たる病巣を外れると判断し得た。したがって,初期分類から経過分類で分類が変化する場合も,初期画像を検討することである程度,傾向を想像し得ることが示唆された。しかし,CT分類は病巣部位での検討であり,血腫量や画像上の血腫の大きさについては検討していない。したがって,病巣を血腫がまたぐ場合は初期分類のみでの検討においてその精度は必ずしも完全ではないと考える。