[P-RS-11-5] 運動習慣が呼吸筋力に及ぼす影響―身体活動量を対照とした検討―
キーワード:呼吸筋力, 運動習慣, 身体活動量
【はじめに】
運動が習慣化されていることおよび身体活動(PA)が高いことは大きな呼吸筋力を有することが推測される。今回,運動習慣が呼吸筋力に及ぼす影響についてPAを対照に検討することを目的とした。
【方法】
健常大学生65名を対象に,運動習慣とPAを調査するとともに呼吸筋力を測定した。運動習慣は国民栄養調査の「週2回以上,1日30分以上,1年以上運動をしている者」を採用した。PAは,国際標準化身体活動量質問紙票日本語版の短縮版を用いた。呼吸筋力はMIPS(FRC,RV),MEPS(FRC,TLC)を各3回実施し,2回の最大値を採用した。運動習慣の有無,中等度以上の活動の有無,強度の活動の有無における呼吸筋力の差についてt検定を用いて検討した。呼吸筋力における運動習慣の有無のカットオフ値についてROC曲線を用いて検討した。呼吸筋力と総PA量,中等度以上のPA量,高度のPA量の関連についてPearsonの積率相関係数を用いて検討した。また,運動習慣の有無における総PA量の差についてt検定を用いて検討した。有意水準は5%とした。
【結果】運動習慣(有16名,無49名)の順にMIPS(FRC)-103.4cmH2O,-81.4,MEPS(FRC)107.6,79.2,MIPS(RV)-116.1,-90.4,MEPS(TLC)143.8,104.2であり,いずれも運動習慣有群が有意に高値を示した。ROC曲線のカットオフ値(感度,特異度,ROC曲線下面積:AUC,p値)は,MIPS(FRC)で91.2(68.8%,59.2%,0.65,p>0.05),MEPS(FRC)で79.8(75.0,67.1,0.67,p<0.05),MIPS(RV)で86.7(75.0,44.8,0.66,p<0.05),MEPS(TLC)で131.1(68.8,75.5,0.72,p<0.05)であった。中等度以上の活動(有25名,無40名),高強度の活動(有22名,無43名)について,いずれも有で有意に呼吸筋力が高値を示した。呼吸筋力と総PA量の相関について,MEPS(FRC,TLC)は有意ではなく,MIPS(FRC)は-0.27で有意,MIPS(RV)は-0.29で有意であった。中等度以上のPA量,高度のPA量と呼吸筋力の関連について,相関係数は-0.46から0.38で有意であった。なお,運動習慣有で中等度以上のPA無が2名,高度のPA無が2名,運動習慣無で中等度以上のPA有が11名,高度のPA有が8名存在した。総PA量は運動習慣有52.7 Mets.hour,無18.3であり,有意に有が高値を示した。
【結論】
運動習慣を有する者は呼吸筋力が高く,総身体活動量と吸気筋力の関係はやや相関を認めた。しかし,ROC曲線において,AUCは小さく,予測能は高くないと考えられた。したがって,呼吸筋力の多寡と運動習慣の有無や総身体活動量は一致しないことがあり,運動習慣と身体活動量から呼吸筋力を推定することは困難であるため,呼吸筋力を実際に測定することが望まれる。生活活動と運動の種類や量,期間を加味した身体活動の指標を検討する必要がある。
運動が習慣化されていることおよび身体活動(PA)が高いことは大きな呼吸筋力を有することが推測される。今回,運動習慣が呼吸筋力に及ぼす影響についてPAを対照に検討することを目的とした。
【方法】
健常大学生65名を対象に,運動習慣とPAを調査するとともに呼吸筋力を測定した。運動習慣は国民栄養調査の「週2回以上,1日30分以上,1年以上運動をしている者」を採用した。PAは,国際標準化身体活動量質問紙票日本語版の短縮版を用いた。呼吸筋力はMIPS(FRC,RV),MEPS(FRC,TLC)を各3回実施し,2回の最大値を採用した。運動習慣の有無,中等度以上の活動の有無,強度の活動の有無における呼吸筋力の差についてt検定を用いて検討した。呼吸筋力における運動習慣の有無のカットオフ値についてROC曲線を用いて検討した。呼吸筋力と総PA量,中等度以上のPA量,高度のPA量の関連についてPearsonの積率相関係数を用いて検討した。また,運動習慣の有無における総PA量の差についてt検定を用いて検討した。有意水準は5%とした。
【結果】運動習慣(有16名,無49名)の順にMIPS(FRC)-103.4cmH2O,-81.4,MEPS(FRC)107.6,79.2,MIPS(RV)-116.1,-90.4,MEPS(TLC)143.8,104.2であり,いずれも運動習慣有群が有意に高値を示した。ROC曲線のカットオフ値(感度,特異度,ROC曲線下面積:AUC,p値)は,MIPS(FRC)で91.2(68.8%,59.2%,0.65,p>0.05),MEPS(FRC)で79.8(75.0,67.1,0.67,p<0.05),MIPS(RV)で86.7(75.0,44.8,0.66,p<0.05),MEPS(TLC)で131.1(68.8,75.5,0.72,p<0.05)であった。中等度以上の活動(有25名,無40名),高強度の活動(有22名,無43名)について,いずれも有で有意に呼吸筋力が高値を示した。呼吸筋力と総PA量の相関について,MEPS(FRC,TLC)は有意ではなく,MIPS(FRC)は-0.27で有意,MIPS(RV)は-0.29で有意であった。中等度以上のPA量,高度のPA量と呼吸筋力の関連について,相関係数は-0.46から0.38で有意であった。なお,運動習慣有で中等度以上のPA無が2名,高度のPA無が2名,運動習慣無で中等度以上のPA有が11名,高度のPA有が8名存在した。総PA量は運動習慣有52.7 Mets.hour,無18.3であり,有意に有が高値を示した。
【結論】
運動習慣を有する者は呼吸筋力が高く,総身体活動量と吸気筋力の関係はやや相関を認めた。しかし,ROC曲線において,AUCは小さく,予測能は高くないと考えられた。したがって,呼吸筋力の多寡と運動習慣の有無や総身体活動量は一致しないことがあり,運動習慣と身体活動量から呼吸筋力を推定することは困難であるため,呼吸筋力を実際に測定することが望まれる。生活活動と運動の種類や量,期間を加味した身体活動の指標を検討する必要がある。