第52回日本理学療法学術大会

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[P-SP-05] ポスター(スポーツ)P05

2017年5月12日(金) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本スポーツ理学療法学会

[P-SP-05-5] バスケットボール,リバウンド時の膝関節アライメントの解析
―男女間の比較から―

三浦 雅史1, 川口 徹2, 山根 鉄平3 (1.仙台青葉学院短期大学リハビリテーション学科, 2.青森県立保健大学健康科学部, 3.札幌リハビリテーション専門学校理学療法士科)

キーワード:性差, 膝関節内外反, 着地動作

【はじめに,目的】

バスケットボールでは膝靭帯損傷が多く,特に女子選手での発生頻度が高いことが知られている。なかでも非接触型損傷での受傷機転としてはジャンプ着地動作が挙げられる。我々も片脚ドロップジャンプ時の膝アライメントを中心に,本学術大会で報告してきた。過去の報告では,バスケットボール競技中の着地動作ではなく,単純なドロップジャンプに関する解析であった。

本研究では,バスケットボールのリバウンドに着目し,1)リバウンド時の膝屈曲角度,内外反角度がどのような変化を示すのか,2)これらについて男女差の有無を明らかにすることを目的とした。

【方法】

対象は,A大学のバスケットボールサークルに所属する男女各10名の計20名とした。反射マーカーは,膝屈曲角度を解析するために大転子,膝関節外側裂隙,外果に,また膝内外反角度を解析するために上前腸骨棘,膝蓋骨中心,足関節中心に貼付した。記録はデジタルビデオカメラ(SONY社製)を3台用い,前方,側方,後方から撮影した。運動課題は最大努力下でのリバウンド後の両脚着地動作とした。あらかじめバックボードに目印をつけ,自らボールを投げ,印の位置に当てることとした。ビデオ画像は2次元動作解析ソフト(DARTFISH,ダートフィッシュ社製)を使用し,関節角度を算出した。膝内外反角度および膝屈曲角度は,1)安静立位時,2)リバウンド着地での全足底接地時,3)リバウンド着地での膝最大屈曲時の3地点で解析した。統計解析はSPSS Ver21.0(IBM社製)を使用し,t検定にて男女差を比較した。有意水準は危険率5%未満とした。

【結果】

1)リバウンド時の膝屈曲角度

全足底接地時,膝最大屈曲時いずれにおいても,膝屈曲角度は有意な男女差はなかった。

2)膝内外反角度

安静立位時の膝内外反角度を男女間で比較すると女性の膝外反角度が有意に大きかった。同様に全足底接地時,膝最大屈曲時について男女間で比較すると女性の膝外反角度が有意に大きかった。

安静立位時の膝内外反角度において有意な男女が認められたことから,変化量についても男女間で比較した。つまり,全足底接地時の変化量を「全足底接地時-安静立位時」とし,膝最大屈曲時の変化量を「膝最大屈曲時-安静立位時」とした。これらの変化量についても男女間で比較すると女性の変化量が有意に大きかった。

【結論】

リバウンド時の膝屈曲角度はいずれの場面においても有意な男女差を認めなかったが,膝内外反角度は明らかな男女差を認めた。また,膝内外反角度の変化量についても男女差が認められた。すなわち,男女間で膝外反角度を比較すると,女性は元々,膝外反角度が大きく,またリバウンド着地時の膝外反角度が大きくなることが明らかとなった。以上から,女性選手のリバウンド着地では,元々の膝外反角度の大きさのみならず,リバウンド着地動作においても膝外反角度が大きくなることが示唆された。