The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本スポーツ理学療法学会 » ポスター発表

[P-SP-06] ポスター(スポーツ)P06

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本スポーツ理学療法学会

[P-SP-06-4] 慢性的足関節不安定性を有するバスケットボール選手の足に関するQOLの調査
SAFE-Qを用いてのバスケットボール選手の特徴について

松浦 彩香1, 田中 亜吏紗1, 羽生 瑚幸1, 下村 咲喜1,3, 髙﨑 雷太2, 工藤 慎太郎1,3 (1.森ノ宮医療大学保健医療学部理学療法学科, 2.森ノ宮医療大学保健医療学部鍼灸学科, 3.森ノ宮医療大学大学院保健医療学研究科)

Keywords:SAFE-Q, 慢性的足関節不安定症, バスケットボール

【はじめに,目的】

足部足関節評価質問票(SAFE-Q)は,日本整形外科学会,日本足の外科学会が独自に開発した足部のQOL調査票である。我々は,足関節内反捻挫に続発する慢性的足関節不安定性(CAI)は,スポーツ活動のみでなく日常生活においても何らかの機能障害を抱え,足部に関するQOLが低下していることを報告した(Shimomura, 2016)。しかし,CAIが問題になる動作の頻度はスポーツ種目により異なるため,SAFE-Qの値も異なる可能性がある。バスケットボールはスポーツ種目の中でも特に足部外傷の発生頻度が高く,足関節捻挫は多くみられる障害の1つである。本研究の目的はバスケットボール選手におけるSAFE-Qの特徴を明らかにし,標準値を得ることとした。

【方法】

本研究においてCAIは足関節捻挫の既往があり,足関節機能的安定性スコア(Karlson, 1991)より80点以下のものと定義した。対象は現役バスケットボール選手162名と現在スポーツを行っておらず,CAIのないControl群67名(平均年齢18.3±1.7歳,身長164.3±2.7cm,体重58.8±18.7kg)とした。更にバスケットボール選手は,CAIを有するCAI群43名とCAIを有さないBAS群119名に分類した。なお,回答が不明確な者は対象から除外した。SAFE-Qの調査は使用手続きに基づき実施した。SAFE-Qは,「痛み・痛み関連(9項目)」,「身体機能・日常生活の状態(11項目)」,「社会生活機能(6項目)」,「靴関連(3項目)」,「全体的健康感(5項目)」,「スポーツ(9項目)」の6つの下位尺度を各項目100点満点で点数化した。統計学的手法にはKruskal Wallis test,事後検定にはSteel-Dwass検定,統計解析にはR2.8.1を用いて,有意水準は5%未満とした。

【結果】

各項目の中央値(25%値-75%値)は以下の通りである。「痛み・痛み関連」はCAI群76.9(61.8-88.6)点,BAS群93.3(79.6-100)点,Control群100(97.2100)点で3群間に有意差を認めた。「身体機能・日常生活の状態」はCAI群94.3(84.1-100)点,BAS群100(97.7-100)点,Control群100(100-100)点で3群間に有意差を認めた。「社会生活機能」はCAI群100(95.8-100)点,BAS群100(100-100)点,Control群100(100-100)点でControl群とその他2群に有意差を認めた。「靴関連」はCAI群95.8(83.3-100)点,BAS群100(100100)点,Control群100(100-100)点でCAI群とその他2群に有意差を認めた。「全体的健康感」はCAI群95(81.3-100)点,BAS群100(95-100)点,Control群100(100-100)点で3群間に有意差を認めた。「スポーツ」はCAI群87.6(73.2-94.4)点,BAS群97.2(89.6-100)点で有意差を認めた。

【結論】

CAI群では足部のQOLが低下しており,先行研究の結果と類似していた。また,「社会生活機能」も低下している点がバスケットボール選手のCAIの特徴と考えられる。更にバスケットボール選手はControl群と比べ,SAFE-Qの点数が低い項目があり,本研究の結果はバスケットボール選手のCAIにおける標準値となり得ると考えられる。