第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

多職種連携

[O] 一般口述7

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:30 PM Room3 (East Building 2nd floor, Middle Conference Room)

座長:渡邊 勧(介護老人保健施設桜の郷敬愛の杜 リハビリ課)

[O-037] 令和元年山形沖地震におけるJRAT初動対応チーム隊員としての活動

*佐藤 亮1 (1. 山鹿温泉リハビリテーション病院 総合リハビリテーション部)

Keywords:初動対応、大規模災害、JRAT

【はじめに】平成28年熊本地震が発生し、大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team:以下、JRAT)は初の大規模災害での支援活動を約3か月行い一定の成果を上げている。筆者は平成28年熊本地震と平成30年7月豪雨水害において主にJRATの本部要員として支援活動に参加したが、発災直後における現地本部の受援体制が十分に整わず、災害リハビリテーション分野の人材育成は今後の課題だと感じていた。今回、平成31年3月にJRAT主催の初動対応チーム(Rapid Response Team:以下、RRT)隊員の第1回養成研修を修了した筆者が、令和元年6月に発生した山形沖地震において自身で行った初動対応について報告する。
【方法】令和元年6月18日22時22分、最大震度6強の山形県沖地震が発生し、新潟・山形両県に津波注意報が発表された。筆者はRRT隊員として両県に設置されるであろう県庁保健医療調整本部のいずれかにおける4日程度の活動を想定し、派遣要請の可能性の有無、両県庁までの経路、派遣時の準備等に関して初動対応を行った。
【結果】地震報道直後からテレビや現地および周辺地域の知人から情報収集を開始したが、夜間発災であったため詳細な情報収集は翌朝より再開した。両県庁、官邸対策室、気象庁等のホームページの公式発表からJRAT-EWS(案)(Early Warning Score)による合計スコアは不確実な情報もあったが4~6点となり、3~5名のRRT隊員が派遣される可能性が伺えた。次に居住地域から現地までの経路を検索し、空路・陸路とも平常運行が確認できたため、19日夜に現地到着が可能である空路での移動を選択した。空路移動は携行する装備が制限を受けるが、今回は現地での食料や水等の調達が見込めたため迅速に現地入りすることを最優先とした。その後の情報より今回は幸いにも被害の拡大もなく避難所は早期に閉鎖され、事態は収束に向かっていたため19日午後に活動を終了した。
【結論】結果的に両県においてJRATへの支援要請はなく今回の初動対応はシミュレーションとなった。今回の活動はRRT隊員として行うべき初動対応であり、全国の隊員が標準的に行えるよう早急なマニュアル整備が必要である。近年、様々な規模や種類の災害が頻発し次々に災害対策における課題を突き付けられている。同じ災害は起きないと言われているが、それぞれの教訓をより実践的な訓練等に活かし、災害リハビリテーション支援や災害理学療法の強化を図ることが重要である。南海トラフ地震においては東日本大震災を大きく上回る被害が想定されており、より高い精度での「支援」と「受援」の準備を行う必要がある。特に被災都道府県庁内に設置される保健医療調整本部に可及的速やかに関連団体が参集し「受援力」を高めておくことが、発災直後から復興に向けた一連の災害支援活動が効率的かつ円滑に行なえることに繋がると考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
活動報告は倫理的配慮に注意し、個人のプライバシー、個人が特定できる内容は記載していない。