[P-19] 在宅脳卒中者における下肢装具の着脱自立度について
Keywords:下肢装具、着脱、脳卒中
【はじめに・目的】
下肢装具の着脱動作は、生活場面での下肢装具使用を考える際に重要な動作のひとつである。装具装着により期待される効果は多く挙げられているが、装具を自身で着脱できるかどうかはその後に続く移乗や歩行動作の自立度をも左右する。今回は、在宅脳卒中者において下肢装具の着脱自立度や姿勢に関して実態調査を行ったため報告する。
【方法】
対象は通所リハビリテーションを利用し短下肢装具を使用している在宅脳卒中者300名である。郵送法を用いたアンケート調査(無記名、自己記入式)を実施した。質問項目は装具着脱の自立度に加え、着脱する際の姿勢、1日の着脱回数、使用している装具の種類、装具使用場面、歩行状況について回答を求めた。分析は装具の着脱が自立と介助の2群にわけ単純集計を行いその傾向をみた。
【結果】
アンケート回収率は27.7%(83名/300名)であった。回答が得られた83名のうち、下肢装具の着脱が自立しているもの(自立群)は62名、介助を必要とするもの(介助群)は21名であった。着脱時の姿勢は、自立群・介助群ともにほぼ全例で座位であった。1日の平均着脱回数は、自立群で2.9回、介助群で3.6回と介助群で多くなる傾向がみられた。使用装具別では、両側金属支柱付きAFOの使用者で着脱に介助を必要とするものが最も多く(29%)、次いでオルトップ(25%)、SHB(18%)であった。使用場面別では、屋内のみ装具を使用しているものが71%と最も多く着脱に介助を必要としていた。歩行状況別では、屋内介助歩行・車椅子移動レベルで59%と約半数以上が着脱介助であった。また屋内歩行自立レベルにおいて20%、屋外歩行自立レベルでも4%が着脱に介助を要していた。
【結論】
下肢装具の着脱動作は、座位姿勢で行われていることが多く、その自立度は歩行状況や使用装具により異なることが今回の調査で明らかとなった。特に、屋内歩行自立、屋外歩行自立者において歩行動作は自立しているにも関わらず着脱に介助を必要とする者が存在している点については大変興味深い。平均着脱回数の結果より1日に約3~4回着脱を行うとすると、移動自体は自立で行えてもその着脱の度に介助者の協力が必要になるということである。渡辺らは、下肢装具が使用されない理由の一つとして着脱がしにくい点を挙げており、生活場面で装具の実用性を考えた際には重要な点になるといえる。下肢装具の使用による活動範囲の拡大を図っていくためには、着脱動作を含めた十分な評価や着脱練習、また着脱がしやすい装具の選択や開発が必要であると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
神奈川県立保健福祉大学倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:保大第7-34)
同意はアンケート用紙の返信をもって同意・承諾とした。
下肢装具の着脱動作は、生活場面での下肢装具使用を考える際に重要な動作のひとつである。装具装着により期待される効果は多く挙げられているが、装具を自身で着脱できるかどうかはその後に続く移乗や歩行動作の自立度をも左右する。今回は、在宅脳卒中者において下肢装具の着脱自立度や姿勢に関して実態調査を行ったため報告する。
【方法】
対象は通所リハビリテーションを利用し短下肢装具を使用している在宅脳卒中者300名である。郵送法を用いたアンケート調査(無記名、自己記入式)を実施した。質問項目は装具着脱の自立度に加え、着脱する際の姿勢、1日の着脱回数、使用している装具の種類、装具使用場面、歩行状況について回答を求めた。分析は装具の着脱が自立と介助の2群にわけ単純集計を行いその傾向をみた。
【結果】
アンケート回収率は27.7%(83名/300名)であった。回答が得られた83名のうち、下肢装具の着脱が自立しているもの(自立群)は62名、介助を必要とするもの(介助群)は21名であった。着脱時の姿勢は、自立群・介助群ともにほぼ全例で座位であった。1日の平均着脱回数は、自立群で2.9回、介助群で3.6回と介助群で多くなる傾向がみられた。使用装具別では、両側金属支柱付きAFOの使用者で着脱に介助を必要とするものが最も多く(29%)、次いでオルトップ(25%)、SHB(18%)であった。使用場面別では、屋内のみ装具を使用しているものが71%と最も多く着脱に介助を必要としていた。歩行状況別では、屋内介助歩行・車椅子移動レベルで59%と約半数以上が着脱介助であった。また屋内歩行自立レベルにおいて20%、屋外歩行自立レベルでも4%が着脱に介助を要していた。
【結論】
下肢装具の着脱動作は、座位姿勢で行われていることが多く、その自立度は歩行状況や使用装具により異なることが今回の調査で明らかとなった。特に、屋内歩行自立、屋外歩行自立者において歩行動作は自立しているにも関わらず着脱に介助を必要とする者が存在している点については大変興味深い。平均着脱回数の結果より1日に約3~4回着脱を行うとすると、移動自体は自立で行えてもその着脱の度に介助者の協力が必要になるということである。渡辺らは、下肢装具が使用されない理由の一つとして着脱がしにくい点を挙げており、生活場面で装具の実用性を考えた際には重要な点になるといえる。下肢装具の使用による活動範囲の拡大を図っていくためには、着脱動作を含めた十分な評価や着脱練習、また着脱がしやすい装具の選択や開発が必要であると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
神奈川県立保健福祉大学倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:保大第7-34)
同意はアンケート用紙の返信をもって同意・承諾とした。