第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

ポスター

ポスター1

[P] ポスター1

2019年12月14日(土) 15:20 〜 16:20 ポスター会場 (東館3階 D会議室)

[P-21] 地域密着型通所介護利用者の要介護度や栄養スクリーニングの1年間の縦断的調査
超高齢群と高齢群の比較による後ろ向きコホート研究

*高岡 克宜1,2、田野 聡1 (1. 医療法人 橋本病院、2. 地域密着型通所介護あゆみ)

キーワード:地域密着型通所介護、超高齢者、要介護度

【はじめに】
現在、我が国では超高齢社会を迎え、今後高齢化はさらに加速すると言われている。通所介護においては利用者の要介護度の重度化防止に資するサービスを提供する必要があり、利用者の高齢化が進む中、超高齢利用者の特徴を明らかにすることは極めて重要である。そこで本研究では、当院地域密着型通所介護(以下、地域デイ)利用者の要介護度や栄養スクリーニング等の1年間の変化を超高齢者と高齢者で比較することとした。
【対象及び方法】
対象は2018年5月1日から2019年5月31日の間に当院地域デイを利用した18名の内、1年間追跡が可能であった女性利用者10名(平均年齢87.4±6.6歳、BMI20.9±3.7㎏/m)とした。方法は基本属性を調査した上で、90歳以上の利用者(以下、超高齢群)5名(平均年齢92.8±3.2歳、BMI20±4.6㎏/m)と、該当しない利用者(以下、高齢群)5名(平均年齢82±4.4歳、BMI21.8±2.2㎏/m)の2群に分類した。その後、要介護度、Barthel Index(以下、BI)、Mini Nutritional Assessment-Short Form(以下、MNA-SF)、最大下腿周径(以下、CC)、利用時昼食摂取割合(主食割合と副食割合)を、調査開始時と1年後に測定した。解析は超高齢群と高齢群、各指標の1年間の変化の2要因について分割プロットANOVAを用い有意水準は5%とした。なお、調査期間中は日常生活や在宅サービス等の制限は行わず、利用時の介入は理学療法士がニーズに沿って個別に行った活動動作練習と介護士が主体となって指導する集団体操等とした。
【結果】
超高齢群の要介護度は3.4±0.8から3.6±1、BIは51±22.4点から48±23.2点、MNA-SFは8.8±2.3点から9±2.3点、CCは29.2±5.4㎝から27.9±5.5㎝、主食割合は9.3±0.8割から9.9±0.1割、副食割合は8.2±1.3割から9.3±0.9割であった。高齢群では要介護度は1.6±0.5から2±0.6、BIは81±8点から74±11.1点、MNA-SFは11.4±1.7点から10.6±1点、CCは31.8±2.6㎝から31.1±2.1㎝、主食割合は9.8±0.3割から10割、副食割合は9.7±0.1割から9.5±0.4割であった。超高齢群と高齢群の間で要介護度、BIに主効果を認めたが、両群共に有意な経時的変化を認めず、交互作用についても認めなかった。
【結論】
当院地域デイを利用する超高齢女性は高齢女性よりも要介護度が高くADLが低下していたが、1年間の経時的変化に差を認めなかった。両群共に改善した項目は認められなかったが、地域デイの利用により要介護度の重度化防止を図ることが出来る可能性が示唆された。しかし、地域デイ以外のサービスを利用されている対象者も含まれており地域デイの効果については言及できない。今後は対象者数を増やすことや他サービス併用者を除いた検討、さらには理学療法介入がどのようなアウトカムの改善が可能か否か等を検討する必要性が示唆された。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究の実施に対して、対象者ならびにご家族に十分な説明を行った後、同意を得た上で実施した。本研究に関するCOIはない。