第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

ポスター

ポスター1

[P] ポスター1

2019年12月14日(土) 15:20 〜 16:20 ポスター会場 (東館3階 D会議室)

[P-26] 住民主体の通いの場に対して異なる介入方法における効果の違いについて

*内田 光俊1、三田 真平1 (1. 医療法人財団聖十字会 西日本病院 総合リハビリテーション部)

キーワード:地域在宅高齢者、住民主体、通いの場

【はじめに・目的】
平成30年4月より週1回ペースで地域在宅高齢者が主体となり活動する通いの場づくりの立ち上げ支援に携わる機会を頂いた。校区住民がつながりあえる場づくりを目的に、2か所の通いの場に対し異なる介入を行い、立ち上げから6ヶ月までの対象者の運動機能および運営状況の変化を報告する。
【方法】
A校区に平成30年4月から立ち上がった2か所の通いの場に通う地域在宅高齢者で、初回・6ヶ月後の両方の体力測定に参加されたaグループ8名(男性0名、女性8名、平均年齢77.0±3.5歳)、bグループ5名(男性2名、女性3名、平均年齢75.8±4.7歳)を対象とし、どちらかのみの参加者は除外した。aグループは、初回に理学療法士(以下、PT)がリーダーに対し、ビデオ体操のポイントやレクレーションを指導した。また、体操後の時間が交流の場となり継続できるような雰囲気作りを依頼した。参加者に対してはPTが初回と6ヶ月後の体力測定(握力、片脚立位保持時間、Timed Up and Go test(以下、TUG)、5m歩行試験(最適速度・最高速度)を行った。また、ビデオ体操の意義や運動継続による効果を説明し、自宅で継続しやすい運動が記載された資料を配付した。ケアマネージャー(以下CM)は毎回通いの場へ出向き、月1回通いの場の状況をPTと情報交換した。bグループは、初回と6ヶ月後の体力測定(項目はaグループ同じ)のみとし、その他の関与は行わなかった。統計処理として、初回と6ヶ月後の運動機能の変化量の比較にはウィルコクソン符号付順位和検定を用い、グループ間の比較としてマン・ホイットニ検定を用い有意水準は5%とした。
【結果】
運動機能は、初回・6ヶ月後の比較では、aグループは握力(p<0.05)、bグループはTUG(p<0.05)のみ有意差が見られた。2つのグループ間では各項目において、有意差はみられなかった。運営状況は、aグループは体操後に自主グループとしての活動も行われており、リーダーは「自信を持って人前で話せるようになった」、参加者からは「階段の上り下りが楽になった」「おしゃべりが楽しくなった」「外出することが増えた」とのコメントが散見された。
【結論】
初回にPTがaグループのリーダーに対し専門的な視点でアドバイスや指導を行ったことで不安が解消され、開始後はCMと連絡を取り合い間接的に関わったがことが体操後の自主的なレクレーションにつながったのではないかと考えられた。また、体操終了後にリーダーが雰囲気作りをしたことで、参加者からレクレーションを提案しやすくなったと考える。グループ間の運動機能に有意な差はみられなかったが、通いの場が外出の機会となり、今後引きこもり防止や運動機能維持に繋がると考えた。

【倫理的配慮、説明と同意】
この活動報告はヘルシンキ宣言に沿って行い、個人情報の取り扱いについても特定できないよう配慮し対象者には説明と同意を得た。