第27回近畿臨床工学会

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COVID-19①

座長:中村 拓生(明石市立市民病院 臨床工学課)、杉浦 正人(関西医科大学香里病院 腎臓病センター医用工学室)

[09-04] 当院における血液透析患者のCOVID-19に対する治療成績と患者背景に関する検討

*大谷 旨輝1、中村 亮太1、小西 一樹1、木田 博太1、中村 年宏1、上野山 充1、岩田 幸真2、上田 仁康2 (1. 大阪急性期・総合医療センター 臨床工学室、2. 大阪急性期・総合医療センター 腎臓・高血圧内科)

【背景】COVID-19(以下、COVID)の流行により、世界的な患者の増加が問題となっており、大阪府においても感染者数は増加している。また、血液透析(以下、HD)患者も例外ではなく、日本透析医学会は2021年5月21日付の発表で大阪では累計180人(全国1694人)の患者が罹患したと報告している。当院は、最大で高度救命救急センター16床、一般病棟44床と大阪コロナ重症センター30床を運用し、大阪府内のCOVID重症患者の受け入れの中核を担っており、HD患者に関するCOVIDの報告はまだ少ない中、急性腎障害を除く23名(計129回)のHD症例を経験することができた。

【目的】HD患者における治療成績を報告するとともに、患者背景を生存群と死亡群で比較検討すること。

【対象・方法】2020年4月1日から2021年4月31日までに当院に入院後、HDを施行したHD患者23例を対象とした。電子カルテより血液検査結果や透析記録、入退院日等といった各種患者データを後方視的に抽出した。その後、生存群と死亡群に分類し、それぞれの患者背景を比較検討した。

【結果】対象患者23例(平均67.9±13.9歳、男性16例)において、PCR検査を受けるに至った症状は発熱22例(95.6%)、咳嗽8例(34.8%)、倦怠感2例(8.7%)、呼吸苦8例(34.8%)であり、スクリーニングは2例(8.7%)であった。平均在院日数は17.0±13.8日、人工呼吸器を要した症例は13例、HD中に回路が凝固しHDを完遂不可能、もしくは回路交換が必要となったのは4例であった。統計解析においては生存群12例、死亡群11例で比較検討した結果では、死亡群ではAlb (2.55[2.32-3.15]g/dL vs 2.20[1.80-2.35]g/dL , p<0.05)が有意に低かった。

【結語】COVID罹患HD患者において、日本透析医学会の2020年9月25日付の報告では死亡率14.3%に比して、当センターでは死亡率47.8%と高い結果となった。また、統計解析より死亡群では生存群と比較して入院時のAlbが低かった。