非鉄製錬における貴金属精製錬とリサイクル

[22-09] マグネタイトを担体に⽤いた⽔溶液中からの貴⾦属の回収

^〇広吉 直樹¹、伊藤 真由美¹ (1. 北海道大学)

司会:丹野 文夫(三井金属鉱業)

水溶液中のAu、Pt、Pdなどの貴金属の吸着剤としてマグネタイトを用いることを考案し、その性能を評価した。吸着実験、SEM-EDX観察および電気化学実験により、塩化物溶液中のAuは試薬あるいは天然鉱物を粉砕して得たマグネタイト粉末の表面に還元析出することを確かめた。銅製錬所の転炉スラグの粉砕物から磁着物として得られるスラグマグネタイトも貴金属の回収に有効であった。スラグマグネタイトは、貴金属としてAu、Pt、Pd、一般金属としてCu,Ni,Znを含む塩化物溶液から貴金属のみを選択的に回収した。SEM-EDX観察および熱力学的な考察から、スラグマグネタイトへの貴金属の還元析出にはマグネタイトのみならず硫化銅や金属銅なども関与していることが示唆された。スラグマグネタイトはチオ硫酸アンモニウム溶液からのAuの回収にも有効であった。マグネタイトやスラグマグネタイトは磁性を持つので、水溶液やスラリー中から貴金属を回収した後、磁力選別で固液分離・固固分離することが可能である。