鉱物処理（Mineral processing）

[PY1-07] 高ヒ素含有銅精鉱への高温高圧浸出法の適用と浸出剤の影響

○乙黒 将史¹、芳賀 一寿¹、柴山 敦¹ (1. 秋田大学)

キーワード：高温高圧浸出、銅、ヒ素、オートクレーブ

近年、銅の原料である鉱石中のヒ素品位が上昇している。ヒ素を含む鉱石からの銅の回収とヒ素の分離技術として高温高圧浸出法があり、本研究室ではこれまで各種銅鉱石を用いた浸出試験を行ってきた。今回は高ヒ素含有銅精鉱を対象に、複数の浸出剤を用い、どのような浸出結果が得られるか調査した。
　実験条件は、浸出温度160℃、容器内の全圧1 MPa、浸出時間1時間とした。また、浸出剤においては、蒸留水、0.1 mol/Lの硫酸および硫酸鉄(Ⅲ)を用いたほか、0.34 mol/Lになるよう各々の浸出剤に塩化ナトリウムを添加した。実験の結果、いずれの浸出剤を用いても銅の浸出率は70%以上に達し、ヒ素の浸出率は30%以下に留まった。特に、蒸留水と硫酸鉄(Ⅲ)に塩化ナトリウムを添加した浸出剤では、ともに銅の浸出率が95%まで上昇し、ヒ素の浸出率は20%以下まで低下した。以上の結果から、いずれの浸出剤を用いても高ヒ素含有銅精鉱から銅を浸出液として回収し、ヒ素を残渣中に分離できることを確認した。