環境（Environment）

[PY1-21] 重力下における微粒子懸濁液の混合機構

○西村 康佑¹、森 正弘¹、多井 翼²、原田 周作¹、山本 恭史² (1. 北海道大学、2. 関西大学)

キーワード：微粒子懸濁液、沈降、混合

重力下における微粒子懸濁液の混合現象は，固液分離のような工学プロセスや溶岩対流などの自然現象においても観察される重要な現象である．本研究では，異なる懸濁条件を有する微粒子懸濁液の混合機構の解明を目的とした実験および数値解析を行った．実験および数値解析によって得られた沈降挙動は良好な一致を示し，上下の懸濁液の集団性が大きい条件では濃度界面は不混和にふるまうのに対して，集団性が小さい条件では濃度界面が混和的にふるまうことが示された．粒子体積を無視したpoint force型の数値解析結果と実験結果の一致から，粒子群の沈降挙動は，点源としての粒子が引き起こす流れ (Stokeslet) によって影響を受けることが示唆された．すなわち，Stokesletの存在量が多い（集団性が大きい）条件では，濃度界面を横切る粒子および流体の流出入は生じないのに対し，Stokesletの存在量が少ない（集団性が小さい）条件では，濃度界面の遮蔽性が失われ粒子の混合が生じる．以上の結果から，粒子が引き起こす流れが，微粒子の混合機構に大きな影響を及ぼすことがわかった．