一般社団法人資源・素材学会 2021年度 春季大会

講演情報(2021年1月29日付 確定版)

一般講演

鉱物処理/環境

2021年3月10日(水) 09:00 〜 11:40 第4会場

司会:菅原一輝(成蹊大学),濱井昂弥(JOGMEC)

11:00 〜 11:20

[3K0401-07-06] 陸上鉱山における掘削コアを用いた酸性坑廃水発生機構の地球化学的研究

○淵田 茂司1、門倉 正和1、高谷 雄太郎1、石橋 純一郎2、島田 和彦2、所 千晴1 (1. 早稲田大学、2. 九州大学)

司会:濱井昂弥(JOGMEC)

キーワード:酸性坑廃水、硫化物コア、溶出試験

開発中もしくは開発後の陸上金属鉱山では硫化鉱物の酸化溶解に起因する酸性坑廃水の発生がしばしば問題となる。酸性坑廃水の生成に関与する硫化鉱物-水反応についての知見は地下水流動制御や廃鉱石除去等の発生源対策工事を計画する上で重要であるが,実環境における酸性抗廃水生成機構に関する地球化学的研究は限定的である。本研究では発生源対策の計画が進められている国内鉱山を対象に,実際に地下から採取された鉱石コア(~120 m)の岩石学的分析および溶出試験結果から,ヒ素含有廃水の生成プロセスについて検討した。岩石薄片を電子顕微鏡で観察した結果,中深部(40-60 m)付近で鉄硫化鉱物のなかで反応性の高い白鉄鉱がわずかに存在し,白鉄鉱中のヒ素含有率は周囲に存在する黄鉄鉱(<0.1 atm%)よりも高いことが分かった(2 atm%)。溶出試験の結果,この深度のコアからヒ素の溶出量が最も多くなった。ただし,ヒ素の溶出率はコア中のヒ素総量に対して10%程度であった。より深部の自然硫黄が多く含まれる砂岩層では,鉄硫化鉱物はほとんど存在しなかったがヒ素溶出率は20%と高かった。以上のことから,白鉄鉱に加えて自然硫黄も酸性坑廃水中のヒ素の起源になっている可能性が考えられる。

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