日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[C] 害虫管理・IPM(畑・果樹)

2024年3月29日(金) 13:30 〜 17:00 C会場 (白橿1)

13:45 〜 14:00

[C-11] 東京都の露地ナス栽培に有効な天敵温存植物種の選定および紫色LEDによるヒメハナカメムシ類の誘引

◯加藤 綾奈1、玉川 陽菜2、大井田 寛2 (1. 東京都農林総合研究センター、2. 法政大学生命科学部)

東京都の露地ナス栽培におけるアザミウマ類の土着天敵利用技術の確立を目的として,立川市の圃場で試験を実施した。2022年には,ヒメハナカメムシ類の強化に有効な天敵温存植物を選定した。ナス圃場の外周にマリーゴールド,ソバ,ゴマ,オクラを植栽し,開花数とアザミウマ類およびヒメハナカメムシ類の頭数を見取りで調査した。その結果,マリーゴールドとソバではアザミウマ類とヒメハナカメムシ類の増減に同調がみられた。オクラの新芽では,アザミウマ類の発生の有無に関わらず調査期間を通じてヒメハナカメムシ類が確認された。ゴマではヒメハナカメムシ類は2回確認されたのみであり,ソバは9月には株全体がほぼ枯死した。そこで,2023年にはマリーゴールドとオクラのみを天敵温存植物として用いることとし,紫色LEDとの併用による相乗効果を評価した。天敵温存植物区,天敵温存植物・LED併用区を設けて対照と比較したところ,ナス周囲への天敵温存植物の植栽により,ナス花上のアザミウマ類の頭数および葉での被害の抑制効果がみられた。さらに,天敵温存植物と紫色LEDの併用により,ヒメハナカメムシ類をより早い時期からナス上に呼び込むことができ,その後長期間定着を持続できる可能性があることが明らかとなった。