日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG01] ポスター発表(一般A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(一般) (桜)

[PG01-60] DNAメタバーコ―ディング解析を用いた食品工場内の害虫侵入・発生状況調査

◯洲﨑 雄1、四本 瑞世1、緒方 浩基1 (1. 株式会社 大林組)

食品工場の衛生管理において、害虫の侵入・発生状況を把握することは非常に重要である。害虫の調査には一般的にトラップ調査が用いられているが、移動性の低いものや隠れているものは捕らえにくいため、すべての害虫の侵入・発生状況を把握するのは困難である。そこで演者らは、建物内に堆積した埃に含まれる環境DNAを次世代シーケンサーで分析することで、そこに存在する害虫相を明らかにする手法の開発に取り組んでいる。これまでに行った室内実験では、埃から様々な昆虫のDNAを検出することに成功している。そこで本研究では、実際に稼働している某食品工場において環境DNA調査を実施し、どのような害虫が検出されるかを検証した。その結果、工場の開口部に近い汚染エリアでは飛翔侵入虫や歩行侵入虫などの外部侵入性の害虫のDNAが多く検出された。一方、工場中心部の清潔エリアや準清潔エリアでは、カビなどに発生する湿潤環境発生虫や、排水溝などの水回りに発生する排水系発生虫などの内部発生性の害虫のDNAが多く検出された。全体的に、環境DNA調査では内部発生虫のDNAを検出しやすい傾向にあった。したがって、環境DNA調査は工場内部の清潔・準清潔エリアの害虫発生状況調査に有効であると考えられる。