日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS01-37] 寄生されたコナガ幼虫は捕食者の攻撃を回避できるか?

◯泉 裕隆1、矢野 修一2 (1. 京大・農・生態情報、2. 京大院・農・生態情報)

捕食寄生者は寄主を殺さず徐々に捕食することで寄主の被食回避能力を下げるので、捕食寄生者が寄主ごとギルド内捕食されるリスクを上げるはずだ。捕食寄生者はこのジレンマにどう対処しているだろうか。
コナガPlutella xylostellaの幼虫は天敵からの攻撃に反応し、素早く後ろに飛び退く。しかし、捕食寄生者コナガサムライコマユバチCotesia vestalis(以下コマユバチ)に寄生されて筋肉を食われたコナガ幼虫は、被食回避の生命線となる運動能力が落ちていると考えられる。本講演では、コマユバチに寄生されたコナガ幼虫の被食回避能力の低下を検証した。
その結果、コマユバチに寄生されたコナガ幼虫は、未寄生のコナガ幼虫に比べてクロヤマアリFormica japonicaに捕食されやすかった。これを裏付けるように、寄生されたコナガ幼虫の飛び退き能力は未寄生の幼虫よりも低下していた。
コマユバチによる寄生はコナガ幼虫の被食リスクを上げ、したがってコマユバチがギルド内捕食されるリスクも上げていると結論できる。そのギルド内捕食リスクに対処する代替戦略として、コマユバチの脱出蛹化タイミングについて議論する予定である。