日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS01-51] サッポロフキバッタのレース間交配が雌の再交尾に及ぼす影響

◯粂井 詩帆1、熊野 了州1 (1. 帯広畜産大院・昆虫生態)

多くの生物で交雑帯の存在が知られているが,それを維持するメカニズムの理解は十分ではない.サッポロフキバッタには性染色体が異なるX0レース(基本型)とXYレース(突然変異型)の2つのレースが存在し,北海道北部と中央部で交雑帯を形成している.レース間交配は配偶子不和合性による適応度低下を招くため,本種の交雑帯集団を用いたレース間交配を検証することは,種分化や個体群維持のメカニズム解明に繋がる可能性がある.そこで本研究では,レース内交配が促進するメカニズムを明らかにするため,6月から8月にかけて交雑帯を含む3地点で採集し,集団間の交配実験を行い,交尾率・再交尾率,再交尾行動,交尾後の生存日数を調査した.各交配実験の交尾率・再交尾率は50%以上で,再交尾率が交尾率を上回っていたが,再交尾行動に差は見られなかった.しかし,集団間交配をした雌の生存日数は集団内交配をした雌より短かった.レース間交配が引き起こす雌の短命化がレース内交配を促進させている可能性が示唆され,その原因として,集団間による精液内物質の効果や交尾器損傷が考えられる.発表では,集団間交配をした雌の再交尾行動や寿命の変化を議論する.