日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS01-56] 昆虫と脊椎動物の双方と共生可能な腸内共生細菌の探索

◯谷口 輝明1,2、古賀 隆一2、森山 実2、福田 真嗣4、深津 武馬1,2,3 (1. 筑波大、2. 産総研、3. 東京大、4. 慶応大)

細菌との腸内共生は動物界において普遍的に見られる。その多くで宿主生物と共生細菌との間には特異性が見られる。一方、広範囲の宿主から繰り返し見いだされる細菌種も存在する。これら腸内共生細菌の宿主域が決まるメカニズムがわかれば、腸内共生の成立に必須な仕組みが理解できるとともに、その進化についても洞察が得られると期待される。チャバネアオカメムシPlautia staliは実験室飼育系統が確立されており、生存に必須なPantoea属の細菌を保有する中腸共生器官をもつ。先行研究で、マウス糞便を無菌カメムシに経口摂取させたところ、大腸菌等の特定の腸内細菌が共生器官に感染を確立した場合、羽化率・体色・体サイズなどについて本来の共生細菌に感染した場合に近いパフォーマンスを示すことが判明した。すなわちマウス腸内にカメムシ本来の共生細菌に近いポテンシャルを有する細菌が存在するらしい。そこで本研究では、より広範にヒトやその他の脊椎動物の糞便を無菌カメムシに経口摂取させ、カメムシと共生関係を構築できる細菌の単離同定を行った結果について報告する。