日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS01-63] コクゾウムシをモデルとした、内部共生系の機能を阻害する新規防除資材の開発

◯萩 明日花1、土方 優和1、土`田 努1 (1. 富山大学)

害虫対策には殺虫剤が有効であるが、現行の殺虫剤は、特異性がそれほど高くないため、周辺環境への影響が顕在化している。持続可能な農業の構築に向け、環境負荷が少ない防除資材の開発は、喫緊の課題である。多くの害虫はその体内に、菌細胞塊という必須共生細菌を収納する器官をもっており、餌に不足する栄養源の供給を受けている。菌細胞は、訪花昆虫や天敵捕食者には存在しないため、そこで働く分子は特異的標的になり得る。本研究では、飼育が容易であり内部共生現象を示す、コクゾウムシをモデルとして、新規防除資材の開発を試みた。コクゾウムシの菌細胞に生息する必須共生細菌Sodalisの増殖は、菌細胞内で高発現するColeoptericin1(Col1)により、抑制されている。これまでに、RNAiによりCol1の発現を抑制すると、Sodalisの菌細胞塊からの脱出および周辺組織への感染が生じ、それまで維持されていた内部共生系が崩壊することが報告されている。そこで、Col1を標的とした機能阻害剤の開発を目指し、高速評価系を構築して候補化合物を選抜した。現在、候補化合物の効果検証を進めるとともに、新規標的分子探索のためのRNAi法の構築にも取り組んでいる。本会では、その進捗状況を報告する。