日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム1)

2024年3月30日(土) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS02-19] 実験室下における餌の糖度がもたらすアメリカシロヒトリ成虫期の寿命への影響

◯山田 出1、藤井 毅1 (1. 摂南大学)

アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)は、チョウ目トモエガ科ヒトリガ亜科のガ類昆虫である。餌に含まれる主要な糖は一般にスクロースであり、昆虫はスクロースをグルコースとフルクトースに分解することでエネルギー源として利用している。しかし、糖代謝は解糖系で生じるアセチルCoAを介して脂質代謝と密接に関係しており、糖と脂肪のバランスの喪失は個体の成育に異常をきたす。そこで本研究では、アメリカシロヒトリの成虫期の餌の糖度が寿命にどのような影響を及ぼすかを調査するため、絶食区、純水区、スクロース水溶液の5段階の希釈系列、さらに清涼飲料水2区の全9試験区について、それぞれ雌雄15匹ずつ飼育し半数致死日数を用いて評価した。生死判定は、個体の腹部や触角をピンセットで刺激し脚が動くかを基準とした。その結果、半数致死日数が純水区のメスでは10.0日、オスでは13.5日だったのに対して、最もスクロース濃度の高い試験区の半数致死日数は、メスでは11.9日、オスでは13.0日であった。どちらの区でも見られた半数致死日数の雌雄差は、メスの排卵が影響していると考えた。総じて、試験したスクロースの濃度区間ではアメリカシロヒトリの成虫期の寿命への大きな影響はない事が示唆された。