日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム1)

2024年3月30日(土) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS02-41] 畜舎におけるイエバエのピレスロイド系殺虫剤抵抗性の現状

◯仲川 幹映1、糸川 健太郎2、上村 望2、富岡 康浩3、谷川 力3、高岡 安希2、糸山 享1、葛西 真治2、駒形 修2 (1. 明治大院・農、2. 感染研、3. イカリ消毒(株))

畜舎で発生するハエは複数種知られるが,殺虫剤抵抗性の報告のほとんどはイエバエである.畜舎でイエバエの成虫対策によく使用されるピレスロイド系殺虫剤に対する抵抗性は、日本では1980年代から報告されている.ピレスロイド抵抗性の要因の一つは,作用点である電位依存性ナトリウムチャネル(Voltage-gated sodium channel: Vgsc)遺伝子上に変異が起き,殺虫剤分子との結合が阻害されることによる.これはピレスロイドのノックダウン効果から,knockdown resistance (kdr)変異と呼ばれる.
 本研究では,2013年以降、鶏舎を中心に全国計14か所の畜舎にてイエバエ幼虫を採集後,飼育されいた各系統について,kdr変異の保有状況を調査した。既知のkdr変異6部位について,全系統あわせて300個体を個体別にシーケンス解析した.その結果,複数の系統からkdr遺伝子が検出された.さらに,一般的なkdr遺伝子(一重変異)よりも強力なピレスロイド抵抗性をもたらすsuper-kdr遺伝子(二重変異)も検出された.複数地点の多数の個体からkdr遺伝子が検出されたことから,更なるイエバエのピレスロイド抵抗性モニタリングが必要である.