日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム1)

2024年3月30日(土) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS02-53] チャノコカクモンハマキ昆虫ポックスウイルス(AHEV)から発見されたポリトンライクウイルスはAHEVの適応度に影響を与えるのか?

◯須藤 真敬1、高務 淳2、仲井 まどか1 (1. 東京農工大学、2. 森林総合研究所)

チャノコカクモンハマキはハマキガ科に属し、幼虫はチャノキの葉を食害する。チャノコカクモンハマキ昆虫ポックスウイルス(AHEV)は昆虫ポックスウイルス亜科に属する二本鎖DNAウイルスであり、本種の幼虫に感染する。AHEVのゲノムを解読したところ、ゲノムに繋がらない11~12kbpの二本のDNA配列が見つかった。この2本の配列はポリントンライクウイルス(PLV)に似た遺伝子構成を持っていたため、AHEV_PLV1とAHEV_PLV2と名付けられた。近年、藻類から単離されたPLVの一種は「ウイルスに寄生するウイルス」であることが分かった。今回、藻類よりも高等な昆虫から初めてPLVが発見されたことは、PLVの生態の解明する上で重要である。演者らの調査では、日本国内の複数の茶園で分離したAHEV分離株からAHEV_PLVのDNAが検出され、AHEV_PLVとAHEVの密接な関係が予想される。本講演では、AHEV_PLVのAHEVに対する寄生・共生関係を解明することを目的とし、AHEV_PLVがAHEVの適応度に与える影響を報告する。AHEV_PLVの有無が異なるAHEVクローンを用いて、幼虫に経口接種し、致死率や包埋体生産量、致死時間を調べることで、AHEVに対する影響を評価した。