第59回日本小児神経学会学術集会

セッション情報

実践教育セミナー

電気生理

[JKS7] 実践教育セミナー7
第3回小児脳機能研究会~疾患に迫る神経生理~

2017年6月14日(水) 15:15 〜 18:15 第7会場 (10F 会議室1004-5)

座長:荒木敦(大阪府済生会野江病院小児科), 相原正男(山梨大学大学院総合研究部)

【ねらい】
人工知能の開発や遺伝子の解明など,科学技術が急速に進歩してきている現代においても,生きている脳は未だに「ブラックボックス」です.私たち「小児脳機能研究会」は,脳波や誘発電位,脳磁図やNIRS,fMRIなどさまざまな手法を組み合わせて,小児のてんかんや発達障害の病態解明に取り組んできました.今回の実践セミナーでは,小児の臨床神経生理学のエキスパートが,それぞれ得意なツールを用いて,与えられたテーマについての基本的な内容から最新の知見までを,初心者の方にもわかりやすく解説します. まず,岡西先生が「てんかんにおける脳波の進歩と応用」と題して,小児のてんかんについての最新の脳波技法を駆使した診断法を解説してくれます. 次に,森先生が「自閉症スペクトラム症の脳機能評価」と題し,脳波,NIRS,プロトンMRS,SPECTなどを用いて多角的に斬り込みます.それぞれの検査の得意な部分,苦手な部分も浮き彫りになると思います. 3番目には,金村先生が「注意欠如多動症(ADHD)」の症状と脳波所見の関連について,前頭部突発波とADHD—RSスコアとの相関や抗てんかん薬による治療後の変化などについて,最新の知見を交えて解説してくれます.「脳波異常を治療すべきか否か」という長年の疑問について一石を投じてくれると思います. 次に,北先生が「学習障害」児の認知機能,特に発達性読み書き障害について,視覚誘発電位,NIRS,fMRIなどを用いて脳機能評価を行い,その意義と限界を解説してくれます. 最後に,荒木が古典的な手法である聴性脳幹反応(ABR),視覚誘発電位(VEP),体性感覚誘発電位(SEP)などの検査法と検査結果の読み方,年齢による変化,「脳性麻痺や神経変成疾患」への臨床応用について述べさせていただきます. 小児神経学の臨床に携わる先生方,特に若手の先生方にとって,「臨床神経生理学」は,必要であることはわかっていても,なかなか実際に学ぶ機会が少ない分野であると思います.この実践セミナーが,そのような先生方のブレイクスルーの入り口になれることを願います.