第59回日本小児神経学会学術集会

セッション情報

委員会主催セミナー

医学研究・研究支援

[KSS1] 共同研究支援委員会主催セミナー

2017年6月15日(木) 09:10 〜 11:10 第5会場 (10F 会議室1008)

[第一部]
座長:萩野谷和裕(宮城県立こども病院), 森本昌史(京都府立医科大学小児科)
[第二部]
座長:佐々木征行(国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科), 森本昌史(京都府立医科大学小児科)

【第一部:ねらい】
共同研究支援委員会は,国内における小児神経疾患の多施設共同研究を支援して,エビデンスレベルの高い研究を世界に発信することを目的とする委員会です.承認された研究課題の学会内の周知や協力の要請を機関誌「脳と発達」やホームページなどを通じて行うなどの支援を提供しています.また,平成22年からは学術集会で,進捗状況や成果などを発表していただいています.今回は,平成26年と27年に申請いただきました3課題に関する演題を発表していただきます.これらの研究の内容をより広く知っていただくことにより,参加・協力いただける先生が増え,より大きな研究組織となり,益々の研究の発展に貢献できることを期待しています.

【第二部:ねらい】
「次世代シークエンスにより日本小児神経学会会員が世界に与えたインパクト」 医学の最近の大きな進歩の一つとして,原因も病態も不明だった多くの疾患において次世代シークエンサーによりその原因遺伝子が同定され,さらに分子生物学的な病態が明らかにされつつある.とりわけ病因・病態不明疾患の多い小児神経学分野では,多くの疾患で新たな知見が次々に得られている. 次世代シークエンス自体は非常に効率の良い検査システムであり,それを上手に使用するための秘けつが多々ある.しかし,むやみに「診断不明例」に適用しても成果が簡単に上がるわけではない.有効に活用するためには,臨床医の眼と力が必要である.特定の症状を共有する患者群を同定し,協力して多くの検討対象を集めることが絶対に必要であり,これは臨床医でなければできないことである. このセミナーでは,日本小児神経学会会員が中心になって世界に先駆けてあるいは世界に伍して解明してきたいくつかの疾患(群)に焦点を当て,その臨床のエキスパートに解説していただく.原因不明疾患の病因・病態を解明するために,臨床家がどのようにして症候群としての疾患概念を構築したのか,またどのようにして同様の症状を示す患者群を収集したのか,具体的なお話を伺う.さらにこれらの成果が世界の研究にどのような影響を与えているのかについても解説していただく. とくに若い小児神経学会会員には,今回の発表内容をさらに応用発展させて,小児神経学分野での臨床研究および基礎医学研究をいっそう進展させていただくよう期待している.

小坂仁1, 井上健2, 久保田雅也3, 黒澤健司4, 才津浩智5, 佐々木征行6, 7, 髙梨潤一8, 松井大9, 三重野牧子1, 山本俊至10, 吉田誠克7 (自治医科大学小児科1, 国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第二部2, 国立成育医療研究センター神経内科3, 神奈川県立こども医療センター遺伝科4, 浜松医科大学医化学講座5, 国立精神・神経医療研究センター病院小児神経診療部6, 京都府立医科大学大学院神経内科7, 東京女子医科大学八千代医療センター小児科8, 大津赤十字病院神経内科9, 東京女子医科大学附属遺伝子医療センター10)