The 60th Annual Meeting of the Japanese Society of Child Neurology

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Symposium

[SY21] Symposium 21
The essential knowledge on dysphagia rehabilitation for child neurologists

Sat. Jun 2, 2018 9:45 AM - 12:10 PM Room 3 (2F 201)

Chair:Sui Sone(Tokyo Metropolitan Higashiyamato Medical Center for Developmental/Multiple Disabilities), Akiko Nagae(Biwako Gakuen Kusatsu Medical and Welfare Center for Children and Persons with Severe Motor and Intellectual Disabilities)

【企画・趣旨のねらい】
 経腸栄養などの代替栄養法は,安全に栄養を摂取できることから,摂食嚥下障害のある子どもの栄養法として広く使用されている.けれども,代替栄養法を導入された後も多くの母親は我が子においしいものを食べさせたいと願っている.経腸栄養のままNICUやGCUから退院する子どもの母親は我が子に口から飲めるようになる日を心待ちにしており,口から食べたり飲んだりすることを止められた子どもの母親は我が子が食べることを楽しめる方法を模索する.小児神経科医は,こうした母親の望みに応える姿勢を持ち続ける必要がある.また,食べる意欲が乏しく食事を食べたがらない子どもや,決まったものしか食べない子どもの母親は,毎日食事を取らせることに神経をすり減らす.こうした子供たちの母親の不安を軽減し,必要な栄養摂取ができるよう助言するのも小児神経科医の重要な役割である.
 一方,乳幼児期の摂食嚥下機能は健常児でも摂食嚥下障害児でも大きく変化する.この変化は,身体成長・味覚などの感覚の発達・口腔咽頭機能の発達と,子ども自身の食べる意欲・母親の食事を与える姿勢が互いに絡み合って起こるため,「安全においしく食べる」ための対策も時間経過と共に変更しなければならない.このように,発達期摂食嚥下障害に対するリハビリテーションは,ダイナミックかつ個別性が強いため,一般の小児神経科医にとって敷居が高く感じられるかもしれない.しかし,小児専門病院・療育センター以外の医療機関におけるリハビリテーション科は主に成人を対象としており,こうした発達期の摂食嚥下リハビリテーションを依頼しても対応できないことがほとんどで,小児神経科医の関与が必要な分野である.
 また,摂食嚥下リハビリテーションに関わる歯科医も小児神経科医との連携を望んでいる.そのため,摂食嚥下リハビリテーションに直接関わらない医師であっても,摂食嚥下機能をある程度評価し,リハビリテーションで行われていることを理解できる知識を持つことは,非常に重要である.なぜなら,摂食嚥下リハビリテーションの訓練は,毎日食べること(飲むこと)であるため,栄養管理に大きく影響するからである.
 本シンポジウムではこの領域の専門家から,摂食嚥下リハビリテーションの知識を学ぶことを目的に企画した.日常診療に役立つ知識を得ると共に,この分野にさらなる興味を持っていただくことができれば幸いである.