[PG-19-05] 超音波画像診断装置を用いた膝伸展時での膝蓋下脂肪体の浅層と深層における動態の違い
【背景と目的】
膝前面部痛に関連する膝蓋下脂肪体(以下IFP)は、浅層と深層で形態学的、機能的に異なる特徴があり(Macchiら,2019)、それぞれの部位に対する評価が必要となる。超音波画像診断装置(以下US)を用いた先行研究では、運動時ではなく異なる膝関節屈曲角度による静的条件下にて、IFPの形態変化を報告している(Macchiら,2019、Kitagawaら,2019)。しかし、臨床場面では運動時に疼痛を訴える症例が多く、より詳細な膝関節痛の理解には、動的条件下である膝関節運動中のIFPの動態を明らかにする必要がある。そこで,本研究の目的は、膝関節の伸展運動時中のIFP浅層・深層における動態の定量的な評価方法の確立し、両部位での動態の違いを明らかにすることである。
【方法】
右膝に整形外科・神経学的な既往歴がない健常成人15名15膝を対象とした(男性8名、女性7名、平均年齢20.6±0.5歳)。測定肢位は端座位とし、US(Aplio300,Canon社)を使用し14 MHz リニアプローブ(PLT-1005BT)を、膝蓋腱の中心に長軸に沿って配置、膝蓋骨尖と脛骨粗面の映るようにIFPを撮像した。運動課題は、1分間に30拍子のリズムで膝屈曲90度から膝屈曲10度まで自動伸展させ、2回計測を行った。撮像したUS動画に流体画像解析ソフト(Flow PIV;Library社)を使用し,IFPの浅層と深層に関心領域を設定した上で解析した.2回の解析データよりIFPの各部位の平均ピーク流速を求めた。上記の測定方法における信頼性の検討は理学療法士2名で実施した。2名の検者が上記方法に準じて2回ずつ計測した。その内1名は1日後に再度同様の手順で2回計測した。統計学的検討は、検者内・検者間級内相関係数(以下ICC)を求めた。ICCの判断基準には Fleiss らの判断基準を用いた。また、IFP浅層と深層の流速の比較は対応のあるt検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
検者Aの流速測定結果は、1回目の浅層0.80±0.23 cm/sec・深層1.37±0.13 cm/sec、2回目の浅層0.81±0.21 cm/sec・深層1.33±0.11 cm/secであり、検者Bは、浅層0.81±0.23 cm/sec・深層1.36±0.11 cm/secであった。ICC(1,2)は、浅層0.92・深層0.82、ICC(2,2)は、浅層0.96・深層0.89であり、高い信頼性であった。深層の流速は、浅層の流速よりも有意に速かった(p<0.05)。IFPの浅層は、潰れるような動態であり、深層は前下方へ滑走する動態であった。
【結論】
膝伸展時のIFPの浅層と深層における動態は本研究方法を用いて定量的に測定できた。IFPの流速は、深層が浅層の流速に比べて有意に速く,動的場面においても深層と浅層では動態が異なることが明らかとなった。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言を遵守し,所属機関の倫理審査委員会の承認(2019-035)を得て実施した。
膝前面部痛に関連する膝蓋下脂肪体(以下IFP)は、浅層と深層で形態学的、機能的に異なる特徴があり(Macchiら,2019)、それぞれの部位に対する評価が必要となる。超音波画像診断装置(以下US)を用いた先行研究では、運動時ではなく異なる膝関節屈曲角度による静的条件下にて、IFPの形態変化を報告している(Macchiら,2019、Kitagawaら,2019)。しかし、臨床場面では運動時に疼痛を訴える症例が多く、より詳細な膝関節痛の理解には、動的条件下である膝関節運動中のIFPの動態を明らかにする必要がある。そこで,本研究の目的は、膝関節の伸展運動時中のIFP浅層・深層における動態の定量的な評価方法の確立し、両部位での動態の違いを明らかにすることである。
【方法】
右膝に整形外科・神経学的な既往歴がない健常成人15名15膝を対象とした(男性8名、女性7名、平均年齢20.6±0.5歳)。測定肢位は端座位とし、US(Aplio300,Canon社)を使用し14 MHz リニアプローブ(PLT-1005BT)を、膝蓋腱の中心に長軸に沿って配置、膝蓋骨尖と脛骨粗面の映るようにIFPを撮像した。運動課題は、1分間に30拍子のリズムで膝屈曲90度から膝屈曲10度まで自動伸展させ、2回計測を行った。撮像したUS動画に流体画像解析ソフト(Flow PIV;Library社)を使用し,IFPの浅層と深層に関心領域を設定した上で解析した.2回の解析データよりIFPの各部位の平均ピーク流速を求めた。上記の測定方法における信頼性の検討は理学療法士2名で実施した。2名の検者が上記方法に準じて2回ずつ計測した。その内1名は1日後に再度同様の手順で2回計測した。統計学的検討は、検者内・検者間級内相関係数(以下ICC)を求めた。ICCの判断基準には Fleiss らの判断基準を用いた。また、IFP浅層と深層の流速の比較は対応のあるt検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
検者Aの流速測定結果は、1回目の浅層0.80±0.23 cm/sec・深層1.37±0.13 cm/sec、2回目の浅層0.81±0.21 cm/sec・深層1.33±0.11 cm/secであり、検者Bは、浅層0.81±0.23 cm/sec・深層1.36±0.11 cm/secであった。ICC(1,2)は、浅層0.92・深層0.82、ICC(2,2)は、浅層0.96・深層0.89であり、高い信頼性であった。深層の流速は、浅層の流速よりも有意に速かった(p<0.05)。IFPの浅層は、潰れるような動態であり、深層は前下方へ滑走する動態であった。
【結論】
膝伸展時のIFPの浅層と深層における動態は本研究方法を用いて定量的に測定できた。IFPの流速は、深層が浅層の流速に比べて有意に速く,動的場面においても深層と浅層では動態が異なることが明らかとなった。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言を遵守し,所属機関の倫理審査委員会の承認(2019-035)を得て実施した。
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