[PR-18-02] 大腿骨近位部骨折術後患者の術後早期歩行獲得に関する因子の調査
【背景と目的】大腿骨近位部骨折の歩行獲得に関する先行研究では、患者因子や手術因子、術後因子について検討されているが、術後早期の因子に関する先行研究は少ない。今回、大腿骨近位部骨折患者の術後早期における身体機能と歩行獲得に関する因子について検討したのでここに報告する。
【方法】当院にて大腿骨近位部骨折に対して観血的骨接合術・人工骨頭置換術を施行された34名を対象とした。調査項目は術後因子に限定し、入院中病棟ADL獲得日数と術後7日目における身体機能を調査した。術後7日時点でFIMの移動項目において病棟ADLが5点以上を歩行可能群、4点以下を歩行困難群とした。身体機能としては術後7日目の荷重時痛(以下NRS)、関節可動域(以下ROM)としては股関節屈曲・伸展・外転関節角度、徒手筋力検査(以下MMT)としては股関節屈曲・伸展・外転筋力を調査した。統計学的解析は、歩行の可否に関連する因子の抽出として、術後因子(NRS、ROM、MMT)について2群間でMann-WhitneyのU検定を行った。次に各関連因子の歩行獲得の可否への影響度を検討するため、歩行獲得の可否を従属変数、Mann-Whitney のU検定にて有意差を認めた因子(荷重時痛、股関節屈曲角度、股関節屈曲・伸展・外転筋力)を独立変数として、ロジスティック回帰分析を行った。
【結果】歩行可能群(14名)と歩行困難群(20名)の2群間比較ではNRS、股関節屈曲角度、股関節屈曲・伸展・外転筋力に有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果は、歩行獲得の可否に影響する因子として、最も影響度の高い因子は股関節屈曲筋力(P=0.02)であった。
【結論】本研究の結果から術後7日目における歩行獲得因子として患側股関節屈曲筋力が関与していることが示唆された。先行研究において久野は、歩行能力との相関関係を比較した結果、大腰筋は大腿部の筋より強い相関関係を有しているとしている。術後早期の股関節屈曲筋力の改善により体幹と下肢の相互作用が得られたため歩行能力改善に繋がった可能性が考えられた。今後は臀筋・大腿四頭筋だけでなく、腸腰筋や体幹筋に着目することで術後早期の歩行獲得を目指せるようなアプローチを検討していきたい。また地域完結型医療の急性期病院の立場からは在院日数短縮が求められており、術後早期に転帰先の予測が必要である。今後は術後7日目における股関節屈曲筋力が歩行予後を判断する上での簡便な指標の一助として、早期より転帰先への調整を開始できるよう介入していく必要がある。
【倫理的配慮】本研究は後方視的調査であり、個人情報のデータ管理は厳密に管理を行った。
【方法】当院にて大腿骨近位部骨折に対して観血的骨接合術・人工骨頭置換術を施行された34名を対象とした。調査項目は術後因子に限定し、入院中病棟ADL獲得日数と術後7日目における身体機能を調査した。術後7日時点でFIMの移動項目において病棟ADLが5点以上を歩行可能群、4点以下を歩行困難群とした。身体機能としては術後7日目の荷重時痛(以下NRS)、関節可動域(以下ROM)としては股関節屈曲・伸展・外転関節角度、徒手筋力検査(以下MMT)としては股関節屈曲・伸展・外転筋力を調査した。統計学的解析は、歩行の可否に関連する因子の抽出として、術後因子(NRS、ROM、MMT)について2群間でMann-WhitneyのU検定を行った。次に各関連因子の歩行獲得の可否への影響度を検討するため、歩行獲得の可否を従属変数、Mann-Whitney のU検定にて有意差を認めた因子(荷重時痛、股関節屈曲角度、股関節屈曲・伸展・外転筋力)を独立変数として、ロジスティック回帰分析を行った。
【結果】歩行可能群(14名)と歩行困難群(20名)の2群間比較ではNRS、股関節屈曲角度、股関節屈曲・伸展・外転筋力に有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果は、歩行獲得の可否に影響する因子として、最も影響度の高い因子は股関節屈曲筋力(P=0.02)であった。
【結論】本研究の結果から術後7日目における歩行獲得因子として患側股関節屈曲筋力が関与していることが示唆された。先行研究において久野は、歩行能力との相関関係を比較した結果、大腰筋は大腿部の筋より強い相関関係を有しているとしている。術後早期の股関節屈曲筋力の改善により体幹と下肢の相互作用が得られたため歩行能力改善に繋がった可能性が考えられた。今後は臀筋・大腿四頭筋だけでなく、腸腰筋や体幹筋に着目することで術後早期の歩行獲得を目指せるようなアプローチを検討していきたい。また地域完結型医療の急性期病院の立場からは在院日数短縮が求められており、術後早期に転帰先の予測が必要である。今後は術後7日目における股関節屈曲筋力が歩行予後を判断する上での簡便な指標の一助として、早期より転帰先への調整を開始できるよう介入していく必要がある。
【倫理的配慮】本研究は後方視的調査であり、個人情報のデータ管理は厳密に管理を行った。
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