第33回大阪府理学療法学術大会

講演情報

Webポスター

[PR-18] 査読者推薦演題③(研究報告)PR-18

2021年7月11日(日) 08:45 〜 15:30 Web Poster:PR-18 (webポスター会場)

座長:肥田 光正(大阪河﨑リハビリテーション大学)

[PR-18-03] 膝前十字靭帯再建術後の早期心理面の評価がスポーツ復帰の予測因子となるか

*近藤 翔太1、竹下 真弥1、北口 拓也1 (1. 大阪労災病院)

【背景と目的】
膝前十字靭帯(ACL)再建術後のスポーツ復帰関連因子として身体的要因に加え、近年、心理的因子の関与が注目されている。Anterior Cruciate Ligament-Return to Sport after Injury scale(以下ACL-RSI)は術後スポーツ復帰に対する心理的不安感の評価指標であり、Kitaguchiらは術後6ヶ月時点のACL-RSIが55点未満の症例は術後のスポーツ復帰が困難となりやすいと報告している(KSSTA, 2020)。しかし、術後6ヶ月時の評価ではスポーツ復帰までに介入できる期間は短く、より早期での評価が可能となれば臨床上有用であると考えられるが、そのような報告はない。そこで本研究ではACL-RSIを用いたより早期での評価が可能かを検討するために、術後3ヶ月と術後6ヶ月時のACL-RSIの関係について調査を行った。
【方法】
当院にてスポーツ復帰を目的にACL再建術を施行した25名(平均平均18.6歳、男性8名、女性17名)を対象とし、術後6ヶ月時のACL-RSIが55点以上を高値群、55点未満を低値群に分類した。評価項目は手術時年齢、性別、受傷時Tegner Activity Scale(TAS)、術後3ヶ月のACL-RSIとした。統計処理は各項目について高値群、低値群の比較をMann-WhitneyのU検定及びχ2検定にて行い、加えて術後3ヶ月と6ヶ月のACL-RSIの関係をPearsonの相関係数を用い検討した。
【結果】
各群の内訳は高値群9名(平均18.3±3.7歳、男性5名、女性4名、受傷時TAS 9±0)、低値群16名(平均19.0±4.6歳、男性3名、女性13名、受傷時TAS 8.3±0.8)であった。年齢、性別、受傷時TASについて両群間に有意差を認めなかったが、術後3ヶ月時のACL-RSIは高値群(56.9±14.7点)に比べ低値群(33.2±17.7点)が有意に低い値であった(p<0.01)。また、術後3ヶ月のACL-RSIは術後6ヶ月時のACL-RSIと有意な相関関係を認めた(r=0.67、p<0.01)。
【結論】
今回、術後3ヶ月時点でACL-RSIが低値の症例はスポーツ復帰が困難となるリスクを有することが示唆された。今後、術後3ヶ月時点でのスポーツ復帰可否を判別するACL-RSIカットオフ値の検証並びに、スポーツ復帰に対する心理的不安感が強い症例に対する効果的なアプローチ方法の検討が必要である。
【倫理的配慮、説明の同意】
本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:29-21番)。ヘルシンキ宣言に基づき、得られた情報は匿名化し、個人情報等の全てのデータは厳密に管理し調査、研究を行った。

要旨・抄録、PDFの閲覧には参加者用アカウントでのログインが必要です。参加者ログイン後に閲覧・ダウンロードできます。
» 参加者用ログイン