[P-095-B] 電子おくすり手帳のメッセージ機能を活用した服薬フォローアップについて
【目的】
総合メディカル(株)沖縄地区のそうごう薬局では、服薬期間中のフォローアップ(以下FU)を基本的に電話で行っている。ただし、日本薬剤師会発行の服薬FUの手引きでは、「FUの方法は電話以外にSNSなどの活用を検討しても良い」とされており、患者の希望があれば、電子お薬手帳のメッセージ機能もFUに活用できるのではないかと考え、試行してきた。今回、電話と比較してメッセージ機能がFUの方法として有用かどうかを評価する目的で、過去のFU記録を調査し、手段別のFU実施率とFUへの返答割合について検討した。
【方法】
2021年3月から5月の間に行われたFUの記録を調査した。FU対象は新規薬剤の追加もしくは薬剤の増量、減量、中止が行われた患者である。解析は、PHC株式会社のヘルスケア手帳®のメッセージ機能を用いたFUを希望した患者と、それ以外の電話によるFUを実施した患者の2群に分けて集計し、それぞれの年齢ごとのFU実施率を比較するとともに応答率(FUへの返答があった件数÷FUを行った全件数)を算出し、Fisherの正確確率検定により比較した。
【結果】
対象期間中にFUは230件実施されており、そのうちメッセージ機能によるFU実施割合は25.7%(59件)であった。年齢別のFU実施割合は、20歳未満では45.5%、20-40歳では33.3%、40-60歳では27.7%、60-80歳では5.7%、80歳以上では9.1%であった。応答率はメッセージ機能によるFUが75.6%、電話によるFUが87.1%であり、両者に有意な差は認められなかった。
【考察】
今回の調査から、メッセージ機能活用は若年層を中心にニーズが高いことが明らかとなり、FUの有用な手段のひとつになることが示唆された。今後は、手段別に患者の満足度や薬剤師が得られる情報量など詳細についても検討する予定である。FUの手段が増えることで、薬学的に確認すべき内容に応じたFUの手段を薬剤師が選択・提案もできるようになり、より患者の満足度向上つながるものと考えている。