第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

優秀演題候補セッション

優秀演題候補セッション2

2023年10月9日(月) 09:30 〜 10:20 第4会場 (2号館2階 会議室224)

座長:灘井 雅行(名城大学薬学部 薬剤学研究室 教授),副座長:長谷川佳孝((株)アインホールディングス 医療連携学術部 次長)

[AW-09] 65歳以上の要支援1~2認定者かつ基本チェックリスト該当者における栄養状態・口腔機能スクリーニング調査票を用いた介入事例

牧野 紗希1, 金子 育子2, 藤田 里栄子2 (1.(株)スギ薬局, 2.駒沢女子大学健康栄養相談室)

【諸言】
介護予防には「可逆性」の特性があり、栄養状態・口腔機能、運動、社会参加が三位一体となり取り組む事が重要である。今回、「稲城市介護予防・日常生活支援総合事業 高齢者栄養・口腔スクリーニング調査票(以下調査票)」を駒沢女子大学健康栄養相談室と共同で作成し、地域包括支援センター(以下包括)に活用いただく仕組みを構築した。東京都稲城市在住の65歳以上の要支援1~2認定者かつ基本チェックリストの該当者となった方に、本調査票を用いて栄養状態・口腔機能評価を行った。リスク該当者には管理栄養士が総合事業訪問型サービスCを活用した3~6か月の訪問栄養食事支援を実施した。本取り組みにより介護予防に寄与する事ができた一例を報告する。
【事例】
80代女性。包括より調査票を活用した聞き取りを実施した際、上部義歯の治療が完了したが噛み合わせが悪く食事摂取量の減少に伴う体重減少があり、調査票にてリスク該当者(介護予防支援対象者)となったため、管理栄養士による訪問栄養食事支援を実施した。咀嚼力の低下に対しては、宅配弁当のやわらか食や冷凍野菜の提案を行い、入れ歯安定剤の一時的使用も推奨した。体重減少に対しては、間食では高たんぱく質であるプリン等の摂取での少量頻回食を提案した。提案によって、患者自ら高たんぱく・高エネルギー食品を選ぶ様に意識変化が見られ、食欲増加が見られた。歯科衛生士との連携した支援も行い、体重は3か月で減少傾向から0.8kgの増加に転じ、BMIは18.6から19.1に増加した。また、食形態はやわらか食から普通食に形態アップすることができた。
【考察】
本事例は体重減少を早期から発見し管理栄養士が介入したことによって、食形態アップや体重減少を食い止められたものと考えられる。調査票を用いた管理栄養士の早期介入によって介護予防への貢献が期待できるだろう。