第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

基調講演

基調講演「薬局を取り巻く医療行政の最近の動向について」

2023年10月8日(日) 10:30 〜 11:20 第1会場 (1号館2階 センチュリーホール)

[基調講演] 薬局を取り巻く医療行政の最近の動向について

浅沼 一成 (厚生労働省 医政局長)

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 薬局は薬機法に基づき都道府県知事の許可を受けて開設されるが、医療法上薬局は医療提供施設の一つとして位置付けられ、医療はその機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されることが求められている。
 かねてからいわゆる団塊の世代の全員が75歳を超える2025年に向けて、要介護者の増加を見据え、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、「地域包括ケア」の考え方の下、地域生活を継続するための医療・介護連携に基づくサービス提供体制や地域づくりを、薬局も含む医療・介護などの専門職から地域の住民一人ひとりまで様々な人たちがそれぞれの地域の状況に応じて力を合わせて取り組んできている。
 こうした考えを踏まえつつ、医療提供体制を巡っては様々な動きが同時に進行している。
 まず令和6年度からスタートする第8次医療計画の策定に向けた各都道府県での検討が始まっている。その中に位置付けられている地域医療構想については2025年に向け各地域での取組が推進されている。また、昨年秋の感染症法の改正を受け、協定の締結など新興感染症への対応体制の準備が進められている。
 一方、コロナに対応する医療提供体制については5月の類型見直しに伴い通常の医療提供体制への移行の途上にあり、コロナの感染拡大にも応じつつ必要な対応が進められている。
 さらに、複数の慢性疾患や医療と介護の複合ニーズを有することが多い高齢者の更なる増加と生産年齢人口の急減が見込まれる中、地域によって大きく異なる人口構造の変化に対応して、「治し、支える医療」を実現していくため、先の通常国会で全世代対応型社会保障構築法が成立し、かかりつけ医機能の強化を進めることとなった。
 医療現場の重要な担い手である薬局を取り巻くこれらの医療提供体制の改革の動きを紹介し、今後の薬局経営と地域包括ケアの深化に向けた議論に資することとしたい。