[LS6] 厚労省研究班による日本型リフィル制度の方法および地域フォーミュラリの導入~PPI製剤を例に解説する~
薬局ビジョン制定(2015年)、コロナ禍深刻化(2020年)、薬機法施行(2021年)、リフィル処方箋制度始動(2022年)、電子処方箋導入(2023年)など薬局を取り巻く環境が大きく変化し「激動の時代」が到来する中、薬局薬剤師は適切に対応できているだろうか。薬局ビジョンの制定から8年間ほど経過したが、その内容の「薬局の薬剤師が専門性を発揮して、ICTも活用し、患者の服薬情報の一元的・継続的な把握と薬学的管理・指導を実施。これにより、多剤・重複投薬の防止や残薬解消なども可能となり、患者の薬物療法の安全性・有効性が向上するほか、医療費の適正化にもつながる」を、いまだに薬局薬剤師はほとんど実践できていない。専門性発揮の機会は少なく単純な調剤業務が中心であり、薬学的管理が行われずポリファーマシーや重複投薬の改善は数%の算定に留まっている。その一方で、最近になって厚労省や財務省が積極的な動きを示してきている。リフィル処方箋制度を浸透させようとする発言がしばしば出され、本年1月から電子処方箋も導入が開始されデジタル庁の後押しもあり、また7月には厚労省から地域フォーミュラリ実施の通知が発出された。これらは薬局薬剤師にとって新しい機能を発揮する機会を提供することになる。すなわち、従来からの処方する医師に盲従するだけで積極的に「標準的な薬物治療の推進」に関与せず、また薬物治療の効果評価も実施して来なかった薬局薬剤師の仕事に、画期的な「新しい機能」をもたらす可能性を有している。具体的には、地域フォーミュラリではEBMに則って推奨薬のリスト作成、更新およびモニターなどで薬剤師の専門性を発揮することが期待される。日本型リフィル処方箋制度では、評価シートを活用し体系だった臨床的アセスメントを行い、フォローアップ報告書に医師が求める情報を過不足なく記載し適切に連携することが期待される。本講演では、薬局薬剤師にとって新しい機能発揮になる地域フォーミュラリ制度および日本型リフィル処方箋制度についてその具体的な対応方法、政策的な意義、海外との比較などの観点から分かりやすく解説したい。